AI時代の覇権争いは、もはや半導体だけの話ではない。その計算能力を実際に支えているのは「データセンター」という巨大な土台であり、ここをめぐって静かに、しかし激しい競争が始まっている。実業家のマイキー佐野氏が今回光を当てたのは、一見よく似た2つの企業だ。名前も事業領域も近いのに、その中身を覗くと驚くほど異なる顔が見えてくる。
 
一社はCoreWeave。元はある暗号資産のマイニング事業から出発し、今やAI向けクラウドの代表格へと姿を変えた企業である。アメリカ国内に数多くのデータセンターを展開し、外部の力も借りながら一気に規模を広げてきた。上場後に株価を大きく伸ばした、いわば時代の寵児である。
 
もう一社のNebiusは、出自がさらに数奇である。「ロシアのGoogle」とも呼ばれた企業からロシア事業を切り離し、地政学の荒波をくぐり抜けて生まれ変わった。サーバーから冷却技術、電力設計まで自前で抱え込む垂直統合型のインフラ企業として、純粋なAIの土台づくりに再出発している。
 
興味深いのは、売上規模に大きな差がありながら、市場からの評価額はほぼ肩を並べている点だ。なぜ、後発で規模も小さいはずの企業が、これほどの値をつけられているのか。佐野氏はその答えを「財務基盤の信用度」に求める。借入に頼って規模を追う企業と、契約や資産を巧みに使って身軽さを保つ企業。同じ土俵に見えて、足元の堅さがまるで違うというのだ。
 
さらに両社を分けるのが、立地が背負う「ルール」である。アメリカ企業ゆえに生じる情報開示の義務と、欧州を拠点とすることで得られる規制上の優位。この一見地味な差が、どんな顧客を引き寄せ、どの市場で強みになるのかを静かに決定づけている。
 
そして話はAIの潮流そのものへと及ぶ。学習から推論へ、需要の重心が移っていくとき、二社のどちらに追い風が吹くのか。あのNVIDIAがなぜ片方に肩入れせず、両社へ賭けを分散させたのか。表面的な売上の数字だけを追っていては決して見えてこない、成長モデルの決定的な差が、そこには静かに横たわっている。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営