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患者が自分に合う病院を選びやすくなる「かかりつけ医機能報告制度」が、2025年4月から実施されています。そんな中で、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わってきた和田秀樹先生は「医者の言うことを妄信していては、かえって命を縮めることになりかねません」と指摘します。そこで今回は和田先生の著書『医者の言うことを聞いてはいけない』より一部を抜粋し、和田先生による「本当に長生きできる」心得をご紹介します。

【書影】医者の言うことを妄信していては、かえって命を縮めることになりかねません。和田秀樹『医者の言うことを聞いてはいけない』

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「コレステロール値が高いと長生きできない」は嘘

「コレステロールが高い」と言われたため、脂質異常症の薬を飲んでいるというかたは、多いことと思います。「このままでは、動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中になりますよ」と医者に脅されて、よくわからない薬を長い間飲み続けているのでしょう。

優等生の患者さんは、先生が言うのだからと何の疑問も持たずに、コレステロール値を下げてしまいますが、これは高齢者の健康維持にとって、正しいことではありません。

嫌われ者のコレステロールですが、実は、値が高い人のほうが健康なことがわかっています。

「コレステロールが高い」というのは、血液中のコレステロールの値が正常値より高い状態のことを言います。いわゆる高コレステロール血症です。続いて、動脈硬化というのは、動脈の壁に炎症が生じ、動脈が肥厚・硬化してしまう状態のことを言います。

以前は「動脈の壁にコレステロールが溜まったため」とされていましたが、それは間違いであると考えられるようになりました。というのは、薬で血中のコレステロール値をいくら下げても、動脈硬化がよくなることはないからです。コレステロール値を下げる薬を飲んでも、心臓病や脳梗塞の予防には多少なりますが、特に虚血性心疾患の少ない日本ではデメリットのほうが大きいのです。

動脈硬化は避けられない

コレステロールが高いせいで動脈硬化になるというのは嘘と言っていいでしょう。昔はそう信じられていたけれども、今はもうほとんど否定されています。ほとんどの医者は、そのことを知っているのです。

また、「年をとって、動脈硬化のない人はまずいない」というのも事実です。つまり、動脈硬化は避けられないことなのです。

私が勤務していた高齢者専門の浴風会病院では、年間100例の病理解剖をおこなっていました。解剖検査の結果では、80歳を過ぎて動脈硬化が進んでいない人はいませんでした。70代でも動脈硬化はほとんどの人に見られたくらいです。

高コレステロール血症の患者さんは、高齢者のかたが多いです。動脈硬化がすでに始まっているであろう人たちに、10年先、20年先の予防を呼びかける意味があるのでしょうか。甚だ疑問です。

コレステロールは下げるべき?

疫学調査を見ると、80歳まではコレステロールが高い人ほど心筋梗塞になりやすいのは事実です。確かに心筋梗塞「だけ」を見れば、コレステロール値は下げるべきです。

でも、日本人の死因のトップはガンで、心筋梗塞は最も心配すべき疾患というわけではないのです。コレステロールは、ほかのいい効果を完全無視して、「心筋梗塞のため」に下げればいいというものではありません。


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心筋梗塞の多いアメリカでも、人口に対しての総死亡率は、60歳まではコレステロールが高い人のほうが高くなっています。しかし、60歳を超えた年代では、コレステロールが高いほうが総死亡率が下がるというデータがあります。

日本は、急性心筋梗塞で死亡する人は、ガンで死亡する人の12分の1しかいない国です。疫学調査では、コレステロールが高い人ほどガンによる死亡が少ないことがわかっています。だから、コレステロール値を下げることはほとんど意味がないのです。コレステロールが高めの人のほうが、生存率が高いことは明らかです。

悪玉コレステロールは必要なもの

コレステロールには、善玉コレステロールと悪玉コレステロールがあるとされていて、「悪玉コレステロールが高すぎるから、薬を飲まなければ心筋梗塞になりますよ」などと、ヘボ医者は言うわけです。善玉? 悪玉? 私などは頭の中にクエスチョンマークが浮かびます。

善玉コレステロール、悪玉コレステロールとは、循環器内科の医者が勝手につけた名称でしかありません。

悪玉コレステロールが原因の動脈硬化をブロックする働きが、善玉にあることになっていますが、これは「循環器内科の医者から見れば」という、偏った話でしかありません。

体全体として考えると、悪玉とされているコレステロールは、免疫細胞の材料でもあるし、男性ホルモンの材料でもある大切な脂です。セロトニンを脳に運ぶ働きもあるので、精神科医からしても、免疫学者から見ても、悪玉コレステロールは必要なものだし、体にいいものなのです。

※本稿は、『医者の言うことを聞いてはいけない』(興陽館)の一部を再編集したものです。