止まらぬパチンコの斜陽化とデジタル化で活気を取り戻した公営競技 コスパ・タイパ時代に最適化したギャンブルの変遷
パチンコ業界が苦境に立たされている。帝国データバンクによると、2024年のパチンコホール経営法人数は1201社で、前年比1割減少。過去10年で1417社(54.1%)も減っている。
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今年5月には「フォーション」の名で都内に出店していた岩下産業が、宮崎地裁から特別清算開始決定を受けた。
パチンコホール運営大手のマルハンは、2025年3月期の営業利益が9%減少。1店舗の純増で売上高は3%増加しているが、それに見合う利益が得られていないようだ。
2022年11月からメダルを使わない「スマートパチスロ」、2023年4月に「スマートパチンコ」が導入され、ゲーム性は向上した。一方で、店舗側にとっては設備投資が重く、利益を圧迫する要因にもなっている。
特にパチンコ離れが著しく、ホール運営会社はパチスロ機を増設するなどして生き残り策を講じているのが現状だ。
対照的なのが公営競技である。
2025年度のJRAの馬券売上は前年度比5%増の3.5兆円だった。6年連続で3兆円を突破している。競輪車券売上は同17%増の1.5兆円。実に28年ぶりに1.5兆円を上回った。ボートレースも総売上は同5%増の2.7兆円だった。過去最高を更新している。
背景にあるのはデジタル化の浸透だ。ネット売上比率は中央競馬で8割以上、地方競馬で9割以上を占めている。きっかけはコロナ禍による巣ごもり特需だ。
東京都競馬は地方競馬向けインターネット投票サービス「SPAT4」を提供している。「SPAT4」を経由した馬券売上は2020年に3819億円となり、前年の1.6倍に急増した。それ以降も売上は増え続け、2025年は5558億円。前年比で7%近く増加した。
日本発のSNSで一時代を築いたMIXIも、現在の成長を支えているのは競輪の投票システムである。
パチンコホールは2030年までに1000店舗以上が消失も
公営競技が若年層の開拓に成功していることも特徴的だ。
メディアジョッキーが30代女性を対象としたアンケート調査によると、「競馬にどれくらい興味がありますか?」との質問に対して、「非常に興味がある」は6%、「ある程度興味がある」と回答した人は46%近くに上っている。興味関心の高い割合は5割を超えているのだ。
日本遊技関連事業協会の調査によると、パチンコ遊技者のうち、コロナ禍で遊ぶ頻度が増えた娯楽は公営競技全体が約33%で最も高く、パチンコは約23%。特に30代以下では公営競技利用が約45%となっており、人気の高さがうかがえる。
コロナ禍という断絶があったことは事実だが、パチンコは時代に取り残されてしまった印象も強い。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視するZ世代を中心とした消費者意識の変化をとらえることができなかったのだ。
パチンコやパチスロをする主な理由の一つが暇つぶしだ。1円パチンコが典型的な例だが、パチンコは少ない投資で長く遊ぶ、時間つぶし需要へと最適化していった。しかし、パチンコよりもパチスロに人気が傾いているように、手早く遊んでリターンを出すことへの意識が高まっている。
そもそも、スマートフォンの浸透で「可処分時間の奪い合い」が起こっている状況だ。暇をつぶすほど時間に余裕のある層は減っている。ギャンブルを楽しむのであれば、短時間で勝負ができるデジタルの公営競技の方が手っ取り早いというわけだ。
矢野経済研究所は2025年から2030年までで、パチンコホールは最大1050店舗(全体の16%)が消滅するとの予測を出した。設置台数が少ない小型店や、経営店舗数の少ないホール経営企業を中心に減少が進むと見ているようだ。
2030年秋には大阪のカジノを含む統合型リゾートが開業する予定だ。日本のギャンブルを取り巻く環境が大きく変化する可能性がある。デジタル化と消費者行動の変化、さらにはカジノ開業という新たな競争相手の出現によって、パチンコ業界はかつてない転換点を迎えている。
文/不破聡 内外タイムス
