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リクルートの住まい領域の調査研究機関である「SUUMOリサーチセンター」が、2025年の「首都圏新築分譲一戸建て契約者調査」を実施し、その結果を公表した。この調査は、首都圏の新築分譲一戸建てを契約した人を対象に、購入物件や購入行動などを聞いたもの。購入価格や広さ、駅からの距離、購入者の資金計画などに変化はあったのだろうか?

【今週の住活トピック】
「首都圏新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」の結果を公表/リクルート

東京23区の新築分譲一戸建ての平均購入価格は調査開始以降で初の8000万円超え

まず、2025年に新築分譲一戸建てを契約した人の購入物件について見ていこう。購入物件価格の平均額は前年(2024年)より523万円上昇の5367万円で、2014年の調査開始以降で最高額になった。内訳を見ると、「6000万円以上」のシェアが28.1%にも達し、これに次ぐ「5000〜6000万円未満」(14.5%)の2倍近くを占めた。

■購入価格(全体/実数回答)

出典:リクルート「首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」

次に、購入物件の所在地を見ると、「東京都下」が30.6%で最も多く、次いで「埼玉県」(24.0%)、「東京23区」(19.3%)、「神奈川県」(17.3%)、「千葉県」(8.3%)の順となった。同社によると、既婚・共働き世帯で「東京23区」や「東京都下」の割合が多い傾向にあるという。

■購入物件所在地(全体/単一回答)

出典:リクルート「首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」

また、「東京23区」の平均購入価格は前年より1085万円上昇して8287万円になり、2014年調査開始以降で初めて8000万円を超えた。一方、「埼玉県」と「千葉県」では2024年よりやや低下の3800万円台になった。共働きなどの世帯年収の多い層が、東京23区の新築分譲一戸建てを購入することで、平均価格を大きく引き上げている構図がうかがえる。

また、購入物件の平均建物面積は、98.6平米で、前年(98.5平米)とほぼ同じだったが、「物件最寄り駅からの距離」を見ると、平均徒歩分数は14.1分となり、前年の13.6分より少し延びるなど、駅から遠くなる傾向が見られた。

■物件最寄り駅からの距離(全体/実数回答)

出典:リクルート「首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」

ちなみに、リクルートではすでに、マンション版の調査である「首都圏新築マンション契約者動向調査(2025年)」を公表している。これを見ると、平均購入価格は7324万円(東京23区は9598万円で初の9000万円超え)でやはり調査開始以降の最高額となったが、平均専有面積は65.6平米となり、前年の66.2平米よりも縮小した。

新築分譲一戸建ての購入者については、たとえ駅から少し離れても、住まいの広さにこだわって選択しているということだろう。

世帯総年収は増えるも、自己資金0のフルローンが増加

次に、2025年に新築分譲一戸建てを契約した人の購入者について、見ていこう。契約時の平均世帯主年齢は36.9歳で、前年とほぼ同じだった。子供あり世帯、夫婦のみ世帯、シングル世帯の割合もおおむね同じだ。

ただし、共働き比率は上昇しており、特に、夫婦のみ世帯の共働き比率は93.2%になり、調査開始以降で初めて9割を超えた。共働き比率が増加したからか、平均世帯総年収は938万円(前年875万円)で、調査開始以降で初めて900万円を超えた。なお、東京23区の物件を購入した人の平均世帯総年収は1301万円だった。

一方、ローンの借入額については、平均総額が4842万円(ローン借入者のみ)となり、前年の4524万円よりさらに増加した。また、借入額が「5000万円以上」のシェアは38.4%に上昇し、調査開始以降で最も多くなった。

気になるのは、「自己資金0(フルローン)」の割合が調査開始以降で最も高くなったことだ。フルローンの比率は年々高くなり、ついに32.8%にまで達した。自己資金「200万円未満」(19.4%)と合わせると、過半数がほぼ全額近くを住宅ローンに頼って購入している構図がうかがえる。

■自己資金(全体/実数回答)

出典:リクルート「首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」

とはいえ、住宅ローンも金利上昇局面に移行している。ローンの低金利と投資の高金利を活用して、余剰資金を運用するなど、健全なマネープランを立てている場合はよいだろう。しかし、めいっぱい借りている状態では、借入額が多いほど金利上昇の影響を受けるし、売るとなったときに、売却額ではローンの残額を返せないといったことも起こり得る。住宅価格は上がり続けるとは限らないことを肝に銘じておきたい。

新築分譲一戸建て購入者は、資産価値より居住価値を重視?

さて、マンションの場合は、「住まい」としてだけでなく、「資産」としてとらえる人も多い。「首都圏新築マンション契約者動向調査(2025年)」では、住まいの購入理由として、「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」(36.7%)が「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから」(34.2%)を上回り、調査以降で初めてTOPが入れ替わった。

これに対し、新築分譲一戸建ての調査ではどうだろう? 住まいの購入を思い立った理由のTOPは、「子供や家族のため、家を持ちたいと思ったから」が59.0%で最も高かった。次いで、「もっと広い家に住みたかったから」(43.5%)、「持ち家のほうが自由に使えて気兼ねがないから」(28.6%)が上位に挙がり、「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」は15.7%で同率5位止まりだった。

■購入理由(全体/3つまでの限定回答)

出典:リクルート「首都圏新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」

マンションの価格が高騰するなか、新築分譲一戸建ても人件費や建築資材の上昇により価格は上がっているが、マンションに比べると上昇はゆるやかだ。いまは、同じ広さなら、マンションより一戸建てのほうが、価格を抑えられる状況にもある。

こうした背景から、希望する場所や条件ではマンションを取得できない人が増えており、予算内で広さを得られる一戸建てを選ぶという人も増えている。ただし、新築分譲一戸建ての購入者は、資産価値にこだわるより、子どもや家族の居住環境を重視する人が多いという特徴も見られる。資産価値や交通利便性にこだわる人とは、選択肢が異なるのだろう。

さて、今後の市況については、住宅ローンの金利上昇に加え、ナフサ不足による建築資材への影響も見逃せない。エリアによっては、一戸建ての価格が安定し始めたものの、ナフサショックによる価格上昇や納品遅れなどの影響が出始め、今後も継続することが懸念されている。

こうした購入環境が不透明な状況では、長く住むための居住環境や適切な資金計画などの重要性が増していく。購入目的を明確にしたうえで、優先順位をつけた希望条件や無理のない返済といったものを心掛けることが大切だろう。

●関連サイト
リクルート「首都圏新築分譲一戸建て契約者動向調査(2025年)」
リクルート「首都圏新築マンション契約者動向調査(2025年)」


(山本 久美子)