自民党総裁選が27日に投開票されます。歴代の政権や政治家に鋭く切り込んできた社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」のメンバーは、史上最多の9人が立候補した総裁選をどう見ているのでしょうか。キシダ文雄首相(浜田太一さん)、イシバ茂氏(福本ヒデさん)、コイズミ進次郎氏(石坂タケシさん)、コウノ太郎氏(山本天心さん)による西日本新聞me限定の特別ライブをお届けします。(構成・小川勝也、高野靖之、写真は柿森英典)

 キシダ文雄(以下キシダ) はい、第101代内閣総理大臣、キシダ文雄が、司会を務めさせていただきます。集まってもらったのは、総裁選に立候補しているコイズミさん、イシバさん、コウノさん。3人合わせて「小石河連合」のみなさんです。

 イシバ茂(以下イシバ) ちょっと苦言を呈します。今回の総裁選、キシダ政権を支えたハヤシ官房長官やモテギ幹事長も出ています。お二人の支持率が低すぎる。一方で、私や進次郎くんの支持率は高い。これ、キシダ内閣は確実にノーを突き付けられている。

石破茂氏に扮し、ポーズを決める「ザ・ニュースペーパー」の福本ヒデさん

 キシダ ちょっと、傷ついています。

 イシバ しかし、キシダさんの引き際は立派だった。総裁選に出るんだろうなと思ってたら、出なかった。しかも早めに「出ない」って言った。キシダ降ろしが起きる前にね。

 キシダ あれはね、もう一回キシダ政権を狙っているからです。1回お休みして、また登場します。ところで、「聖域なき規制改革」という、いつか聞いたようなフレーズを繰り返すのは進次郎くんです。

 コイズミ進次郎(以下コイズミ) 私は、とにかく、おやじを踏襲する。古典芸能、歌舞伎もそうですが、おやじを継いでいく。世襲ですから。

小泉進次郎氏に扮し、ポーズを決める「ザ・ニュースペーパー」の石坂タケシさん

 イシバ もし総裁選に勝ったら「純一郎」を襲名したらいいんじゃないの。名前、変えなさいよ。コイズミ亭純一郎。大相撲で内閣総理大臣杯を渡すために土俵に上がって「感動した!」って言うのを聞きたいもん。お客さんも「よっ二代目!」「コイズミ屋!」って。国民が望むことは大事かも。

 キシダ 私ね、これはどうかなというのが、やっぱ外交ですね。アメリカの大統領は、はりすさんか、とらんぷさんか。

 コイズミ とらんぷさんが大統領になれば、会いに行きますから。最初に言うことは決めています。 You are sexy(ユー アー セクシー)。

 イシバ もし、はりすさんになったら、あなたの奥さんが行くんですよ。そっちの方が、外交はいいんじゃないかなと思ったりする。

 キシダ イシバさん、総裁選は何回目ですか。

 イシバ 5回目ですよ。もう最後にします。

 コウノ太郎(以下コウノ) 前々回も同じこと言っていましたよ。

河野太郎氏に扮し、ポーズを決める「ザ・ニュースペーパー」の山本天心さん

 キシダ よくあるじゃないですか、閉店セールみたいな。今回最後にしますって言って、駄目だったら、次回も「これで最後」って言うんでしょ。

 イシバ 2012年、アベ元首相に1回目の投票で勝った、あの総裁選がピークだったかな…。

 コウノ 派閥裏金事件を巡って、「裏金議員」が多かったアベ派に一番煙たがられているのは私ですよ。アベ派の議員に言ってますから。裏金は全部返納しろ!

 キシダ でもあなたね、おかしいですよ。私は派閥を全部やめてくれと言ったんですよ。それなのにアソウ派だけが残ってしまった。しかも、あなた、アソウ派の支援で立候補してるじゃない。

岸田文雄首相を演じる浜田太一さん(TNPカンパニー提供)

 コウノ だって派閥の支援がないと勝てないもん。タカイチさんには勝ちたいですね。

 イシバ 派閥がなくて負けたんなら頑張ったって言える。でも派閥があって負けたら、これ一番恥ずかしいですよ。

 コイズミ 今回、自民が掲げるのは刷新感。過去最多の候補が最も長い選挙期間で戦い、テレビをジャックしています。いわば「自民党、秋のPRキャンペーン」。人気が続くうちに衆院解散・総選挙。ぜひやりたい。

自民党総裁選の候補を演じる「ザ・ニュースペーパー」の(左から)山本天心さん、石坂タケシさん、福本ヒデさん

 イシバ わたくし、残念なこと言わなきゃいけない。顔を売りたい、名前を売りたい、って、みなさん出ているんですけど、残念ながら覚えられません。9人グループって、ほぼ名前を覚えてないんですよ。総裁選の15日間で覚えてもらおうなんて無理です。ザ・ニュースペーパーも9人ですけどね、いつもライブに来るファンにさえ、名前を間違えられるんだから。

 コウノ ずっとしゃべってきて、ほとんど「政治とカネ」の話題が出ませんね。自民党はもう忘れちゃってるってことでしょう。

分析・自民党総裁選〈9候補・推薦人の出身派閥や政策比較〉