米ラスベガスで各国のゲーマーと対戦する畠山駿也さん=2024年7月、米国・ラスベガス、©AKR/Akira Sato

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 コンピューターゲームで競う「eスポーツ」のコミュニティーを、東北に作りたい――。

 岩手県紫波町の畠山駿也さん(30)は難病と闘いながら、eスポーツの普及に力を入れるゲーマーだ。この夏、米ラスベガスの大会に参戦した経験をいかし、14日と15日、岩手県八幡平市の安比高原で交流イベントを開く。

米ラスベガスで各国のゲーマーと対戦する畠山駿也さん=2024年7月、米国・ラスベガス、©AKR/Akira Sato

 畠山さんは、筋肉が徐々に衰える難病「筋ジストロフィー」を患い、小学2年生の頃から車いすで生活する。だが「工夫一つで可能性は無限大に広がる」と信じ、あごで操作できるコントローラーを独自で開発。Jeniというゲーマー名で「ストリートファイター6」をプレーし、バリアフリーeスポーツを推進する「ePARA」の社員としても活躍する。

 昨年秋、同社は、障害の有無に関係なくeスポーツを楽しめる「HACHIMANTAI 8 FIGHTS」(ハチエフ)を八幡平市で開き、畠山さんはプロデューサーを務めた。約200人が参加した。

 今年7月、畠山さんは10代の頃から念願だった世界最大級の格闘ゲームイベント「EVO 2024」に参加した。クラウドファンディングで489人の支援者から、米ラスベガスまでの自身や介助者の渡航費など約500万円を得た。

 米国では、道や建物内に段差がなく、スロープが当たり前にあり、呼べばすぐに福祉タクシーがきた。「誰もが過ごしやすい環境が整っていて、ゲームに集中できた」

 イベントでは約5300人中257位という好成績を残し、国境を越えて交流できた。「障害を感じさせない環境を整えられれば、eスポーツは誰もが対等に戦える最高の競技だ」と改めて実感した。

 大勢の支援を受けてきた畠山さんは「今度は自分が誰かを応援する番だ」と考える。「今後、eスポーツのイベントの運営などで障害者に就労を生み出し、誰もがより参加しやすい環境を整えることをライフワークにしたい」という。

 今年のハチエフでは、2対2の対戦試合や、バリアフリー仕様のコントローラーを試せる場も設ける。会場は安比リゾートセンターで、入場・参加費無料。詳細はホームページ(https://8f.gg)で。(伊藤恵里奈)