死球を受け、渡辺監督代行がベンチを飛び出し乱闘寸前の騒ぎとなった

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「どういうわけか、最近、増えてるんですよね」

 とスポーツ紙記者が首をひねるのは、地震でも豪雨でもない。プロ野球の乱闘騒ぎである。

「五輪やWBCで侍ジャパンが活動を始めて以来、乱闘は激減していました。球団同士の垣根が低くなったためだといわれています。実際、ライバル同士が一緒に仲良く自主トレすることも珍しくなくなりました」

 ところが、である。この8月だけで実に5件もの乱闘騒ぎが起きているのだ。

当人よりベンチが先に沸騰

 1日、マツダスタジアムで行われた広島対DeNA戦で、広島の大瀬良が投じた球が宮崎の肘付近を直撃。前の打席でも頭部近くに球が来ていたため、宮崎は怒りの表情でマウンドに詰め寄った。12日にZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ対オリックス戦では、死球を受けたオリックス森がにらみを利かせてマウンドへ。両軍がベンチから飛び出して乱闘寸前に陥った。

死球を受け、渡辺監督代行がベンチを飛び出し乱闘寸前の騒ぎとなった

 死球が乱闘の引き金となるのは今に始まったことではないが、最近は当てられた当人よりベンチが先に沸騰するケースが目立つ。

 13日、神宮球場でのヤクルト対中日戦は、ヤクルト岩田が死球を受けると、高津監督ら双方の首脳陣が飛び出して、一触即発に。17日には、横浜スタジアムで開催されたDeNA対巨人戦で、死球を受けたDeNA筒香の代わりにチームメイトのオースティンが激高。24日はベルーナドームでの西武対楽天戦で、西武・佐藤龍への死球を巡り、渡辺監督代行がベンチから駆け出し相手捕手に詰め寄る場面が見受けられた。

“乱闘騒ぎ”の共通点

 むろんどの試合でも、ぶつけられた側が怒っているのだが、

「共通しているのが、全てBクラスに低迷している球団ということ。相手はAクラス、もしくは怒っている側より上位の球団です。負けが込んでいるせいでイライラがたまっているんでしょうか」

 共通点はそれだけではない。いずれも屋外の球場なのだ。ベルーナは屋根付きだが、密閉されておらず、屋外同様の酷暑である。

「やっぱり、暑いと怒りっぽくなるんですかね。単にストレス解消で騒いでいるだけかもしれませんが」

 夏が終われば、珍事も収まるだろうか。

「週刊新潮」2024年9月5日号 掲載