高松は芸術の島、直島へ向かうこともできるため、ここ数年は外国人観光客が急増。食事のマナーを巡ってトラブルも起きているという。

 店長によれば「(今回のような)いきなり動画配信しながら来るケースは、過去にもありました。ビデオ通話しながら食べる外国人のお客さんは珍しくないですね。ただ、カウンターでビデオ通話される方にが、他のお客さんに迷惑になるのでヤメてもらうように伝えてます」とのこと。

◆泥酔した通話客を一喝

 もちろん、こうした通話客は外国人観光客だけではない。都内のチェーン系寿司店の板前はこんなエピソードを話してくれた。

「スマホを耳に当てて、ずっと話しながら食ってるお客さんはたまにいるね。この前、スマホで話し始めた30代半ばくらいの女性がいたんだ。他にカウンターにはお客さんがいなかったから、まぁいっかって思っていたら、30分くらいずっと話しながら飲んでんの。それでたまに寿司も注文してさ、器用だよなぁって(笑)。でも、ビールから日本酒にいって、2合くらい飲んだあたりか酔いが加速して、すごい汚い言葉を言い始めたんだ。『うるせぇんだよ!』とか『関係ねぇって言ってんじゃん、バカ!』とか。

 あ〜こりゃそろそろ止めねぇとなぁって、『お客さん、電話しながらは迷惑ですから』って言ったら、『オメェもうるせぇんだよ!』って言われて、思わず反射的に『テメェのほうがうるせぇよ、バカ。オメェが出てけ!』って言っちゃった(苦笑)」

 その女性は我に返ったのか、そそくさと店を出て行ったのだとか。

◆通話中だと注意するタイミングも難しい…

 この板前によると、通話客が飲食店にとって迷惑なのは、途中で声が掛けられないからだとも。

「うちみたいなお店の場合、イヤホンで聞いてるだけなら大きい声で『お客さん!』って言えばいいんだけど、通話していると、声を掛けるタイミングがなくて困りますね。しかもそれが日本語じゃないならなおのこと……」

 イヤホンくらい、通話くらいと思われるかもしれないが、それにより困ってる人がいるのも事実。お店独自のルールは尊重して然るべきなのかもしれない。

取材・文/谷本ススム

【谷本ススム】
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター