価格は、ほぼ同じようである。以前は、バーミヤンの方が若干高かったが、もともと安かった餃子の王将が人材投資を主目的に値上げを実施し、価格差はほぼないようだ。

 接客サービスを比べると、餃子の王将は人間中心の接客である。ただ、来店客が多く、一人ひとりに親切丁寧な接客というより、いかに効率的にさばくかが課題のようになっている印象だ。バーミヤンはすかいらーく系なのでどうしてもマニュアルを義務付けられた接客になっている。DXをフル活用し、タッチパネルによる注文、配膳ロボット、セルフレジなど一連のプロセスがデジタル化・省力化されている。配膳ロボットのフル活用ではクレームが23%減少、片付け時間が40%削減、歩行数49%削減、さらにセルフレジ利用も70%を超えるなど利便性も向上させている。

◆店舗ごとに個性を発揮する餃子の王将

 チェーンでありながら地域の店舗ごとに個性を発揮する餃子の王将と、すかいらーくの傘下でチェーンとしての統一性を厳格に順守するバーミヤン。

 店の基本姿勢としては、餃子の王将はチェーンとしての基本は守りながら、各地域のニーズに合致したオリジナルメニューの販売など、店舗にも独自のメニュー開発する権限を委譲し、従業員のやる気を引き出している。また、可能な限りお客さんの要望も受け入れ、一定の範囲でカスタマイズ化にも対応している。一方でバーミヤンは店舗現場にそれほどの権限はなく個々の顧客に柔軟に対応するというのは困難なようである。

 店舗開発においては、餃子の王将は中長期的視野に基づく経営戦略の一環として新コンセプト店「GYOZA OHSHO」の出店を計画している。「王将女子チーム」による、女性の視点と感性を発揮させた店舗開発である。一方でバーミヤンはすかいらーくの経営戦略に基づき、複数業態を出店し、商圏内を徹底分析して自社でカニバリゼーションしないような業態配置を徹底している。

◆「ぎょうざ倶楽部会員」で顧客の組織化

 両社ともに、今後を左右する営業基盤の盤石化に向けて、顧客の囲い込みを強化する計画だ。

 餃子の王将の「ぎょうざ倶楽部会員」も確実に増加中だ。これは、支払額に応じてもらえるスタンプ25個で5%会員、さらにスタンプ25個で7%会員になれるサービスで、飲食時の料金から一部割引の特典がある。特に7%会員の数は、2018年の27.5%から2023年には52.7%にまで増やし、過去最高109.4万人(2023年度)を突破。ロイヤルマーケティングの実施で「中華といえば餃子の王将」といった組織化できた経営基盤の強さを物語っている。

 一方、バーミヤンはすかいらーくのほぼ全店と共同で顧客ロイヤリティーを高めるために、自社ポイントプログラムをスタートさせている。また、共通ポイント各社と合同キャンペーンも実施して、顧客の来店頻度を高めるモチベーションにもなっているようだ。

◆餃子の王将VSバーミヤンの財務状態

 2024年7月次売上高で30か月連続前年同月比の過去最高を更新中の餃子の王将。業績好調だが、値上げの影響はないのか直近の実績を見てみたい。

【餃子の王将の第1四半期決算】
売上/営業利益/営業利益率
2025年度3月期(4〜6月):264億2100万円/24億4100万円/9.2%
2024年度3月期(4〜6月):246億2300万円/24億1500万円/9.8%

今年に入り、4月〜7月の直営全店の実績は次のとおりである。

【2024年4月〜7月の直営全店の実績(伸び率)】
売上高/客数/客単価
2024年4月:78億5300万円(104.2%)/6820人 (102.2%)/1151円(102%)
2024年5月:82億6000万円(106.7%)/7197人(104.4%)/1148円 (102.1%)
2024年6月:80億100万円 (111.2%)/6942人(106.5%)/1152円 (104.5%)