市村優汰(本人のInstagramより)

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 木村拓哉、工藤静香の次女・kokiや、藤岡弘、の美形4きょうだいなど、近年2世タレントはトレンドとなっている。今や「親子共演」だらけの芸能界だが、愛される親バカとそうでない親バカの違いはどこにあるのか――。【冨士海ネコ/ライター】

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【写真を見る】「脚ながすぎ!」 高校の入学式での市村優汰

 世の中、「イケメン2世」が多すぎる。何をもって「イケメン」と見るかは人それぞれだけに、言ったもん勝ちという空気にもなってきていやしないか。まだ実績が何もない2世が世に出る時、親の名前以外の武器としては見た目のインパクトに頼るしかないとはいえ。

 中でも2世の恵まれた環境を自覚的に使っているのが、篠原涼子さんと市村正親さんの息子・市村優汰さんだ。母親の面影を残す柔和な顔立ちで、178cmという高身長を生かし、「Rakuten GirlsAward 2023 AUTUMN/WINTER」でモデルデビューも果たした。高校入学式でのすらりとした立ち姿の写真は、「異次元のスタイル」と加工疑惑を呼ぶほどだ。演技経験はまだ少ないものの、ドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法 シーズン2」(テレビ東京系)にも出演した市村さん。「踊る!さんま御殿!!」などバラエティー番組では年相応の屈託のなさを見せる一方で、ルイ・ヴィトンやフェンディといったハイブランドの私服に身を包んだ自撮り投稿は、良くも悪くも注目を集めた。

市村優汰(本人のInstagramより)

 このパターン、木村拓哉さんと工藤静香さんの次女・Kokiさんが出てきた時とよく似ているのではないだろうか。ティーンエイジャーにしてハイブランドに身を包み、どや!とメディアに出てくる2世は憧れだけでなく反感も買いやすい。木村家の女性陣も、脚長ぶりを見せつける写真が「加工がすごい」と指摘されていたように、どんなに顔やスタイルが美しくても、素直に褒めづらくなってしまう。「親の七光」と「写真の加工」という2段積みの下駄を履くと、称賛より先に「勘違いした2世」というレッテルを真っ先に貼られるものだ。

 工藤さんのインスタでKokiさんのアピールが多いのは有名だが、市村さんも父親の溺愛ぶりは有名である。先の「さんま御殿」でも、折に触れて愛息の写真を送ってくる、と明石家さんまさんが暴露していた。ファッション誌「NYLON JAPAN」で親子共演した際の宣伝動画では、臆面もなく「愛してるよ」と息子に告げる一幕もあった。還暦間近にしてできた息子がかわいいのは分かるものの、過ぎた「親バカ」ぶりを見せつけられて、しらけてしまう視聴者も出始めているようである。

今や「親子共演」だらけの芸能界 愛される親バカたちに見る共通点とは

 木村家や市村家に限らず、親子共演が大きな話題となるのは事実。昨年は沢村一樹さんが、専属モデルを務めていた「MEN'S CLUB」で長男の野村大貴さんと表紙を飾った。松本幸四郎さん・市川染五郎さん親子は劇場版「鬼平犯科帳」での共演がニュースに。京本政樹さんと息子のSixTONES・京本大我さんは、「徹子の部屋」やラジオ番組だけでなく、舞台や映画でも親子コラボを見せている。

 最近は、藤岡弘、さんの美形4きょうだいたちも話題だ。「どうする家康」では、藤岡さんと長女の天翔愛さん・次女の天翔天音さんが共演。みな口をそろえて「お父さんを尊敬している」というほど親子仲が良いのもほほ笑ましい。

 愛される親バカとそうでない親バカの差は、しつけの厳しさや2世本人の下積み具合と結びついているものだが、親がわが子を「キャラクター」として褒めているのか「プレイヤー」として褒めているかの違いに出てくるのではないだろうか。

 ハイブランドを身にまとい、大舞台に立つイケメンや美少女は「金持ち美形キャラ」に過ぎない。京本家や藤岡家の子どもたちだってハイブランドの似合う美形だが、その部分を父親が強調することはないように思う。京本さんは息子がカーペットに毛玉ができるほどダンスを練習していることや、ジャニーズのお作法が通じないミュージカルで落ち込んでいたというエピソードをトーク番組で明かしていた。藤岡家では全員に武道を習わせ、自立した大人になるために誕生日ごとにナイフをプレゼントしていたというが、そうした経験から培(つちか)われた子どもたちの行儀の良さやブレなさは、確かに業界内外で好感を呼んでいる。

キャラ先行に見えてプレイヤーぶりが評価された高橋真麻やMatt 飽和状態の2世界で穴場は「バカ息子」枠?

「踊る!さんま御殿!!」ではおなじみだが、デビューした2世はついつい「キャラ」を打ち出すことにとらわれ、親のカネとコネ自慢かモテモテエピソードを繰り広げてしまったりする。ただ、実際に「キャラ」が評価されるのは、「プレイヤー」の一面を持っている2世だけではないだろうか。

 親バカといえば高橋英樹さん・真麻さん親子も有名だが、高橋家もまた、真麻さんの体を張った「プレイヤー」ぶりが、キャラの確立につながった印象が強い。コネ入社とささやかれながらフジテレビの女子アナになった真麻さんに、当初の風当たりは強く、歌が上手なキャラとしてイベントで歌う姿に眉をひそめる視聴者は多かった。

 しかし、報道番組での落ち着いた原稿読みが評価され、フリー転身後に親子共演となった「隅田川花火大会」のゲリラ豪雨に打たれながらの中継で「伝説」に。のちに「理想の親子」ランキングの常連になった。

 キャラ先行と思われがちなMattさんも、美容オタクという「プレイヤー」面が徐々に評価されてきた人だ。Mattメイクを施された父・桑田真澄さんと共演したCMも話題になった。CM総合研究所によれば、2023年1月前期のCM好感度(銘柄別)で1位を獲得するほどだったという。

 SNS全盛期の今、親の人気と子どものブレイクは、親子双方にメリットがある。プレイヤーとして実績を積むより、親の名前を使うほうが手っ取り早い。だからついつい親バカになってしまうのも分かるが、見た目の良さやコネの強さがチラつく「キャラ」が先行し続けると、ただの「バカ」と見られて共倒れになってしまう。

 ただし、2世だけに許される「バカ」もある。「偉大なる親を持つバカ息子」枠、石原良純さんや長嶋一茂さんがいる席である。実のところ、彼らは彼らでバカ息子っぷりをずっと演じ続けている「名プレイヤー」だけに、次に続く胆力ある2世はなかなか現れない。飽和状態の2世界を制するのは、親譲りの金でもコネでも美貌でもなく、「バカ」を演じられるマインドと体力ということなのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部