新庄剛志監督と抱擁する日本ハム・杉谷拳士【写真:荒川祐史】

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「いざ、前進打法」を予告するも右飛…新庄剛志監督と熱い抱擁

 今季限りでの引退を表明している日本ハムの杉谷拳士内野手が5日、東京ドームで行われた侍ジャパンとの強化試合で7回1死から代打で“引退出場”を果たし、右飛に終わった。涙を浮かべて新庄剛志監督とハグを交わし、14年間のプロ野球人生に幕を下ろした。

 序盤からベンチではヘルメットとバットを持った“臨戦態勢”で出番を待ち続けた。試合中には、まだグラウンドに立っていない段階で異例のコメントを発表。「日本中のプロ野球ファンの皆様、そしてリアル野球盤のファンの皆様、14年間温かいご声援ありがとうございました。最後まで帝京魂を胸に、有終の美を飾りたいと思います。いざ、前進打法!」と、かつての新庄剛志監督ばりに打法を“予告”していた。

 7回1死一塁で「代打・杉谷」がコールされると、場内のファンは大喝采。杉谷は左打席に立つ前にヘルメットを取り、深々と一礼した。カウント1-1からの強烈なファウルにはどよめきが起きた。中日・高橋宏斗の149キロの直球に右飛に倒れると、再び一礼。「杉谷選手14年間お疲れさまでした」とのアナウンスとともに、チームメートに迎えられた。

 この日はベンチスタートだったものの、場内の視線が集中。練習時のフリー打撃では、ベルーナドームでの試合時に敵ながら愛のある“イジリ”アナウンスを行ってきた西武のウグイス嬢・鈴木あずささんがマイクの前に座り、最後のイジリを敢行した。

「その人気は、今や侍ジャパン越え」というエールに応えるかのようにスタンドに打球を放り込み「杉谷選手、これまで本当にたくさんの素敵なお時間、ありがとうございます」というラストコールに一礼した。

 試合前には円陣の真ん中に陣取り、スタンドを見上げると感極まったかのようなしぐさで目元をぬぐった。試合前のメンバー紹介では誰よりも大きな拍手を受けた。2008年秋に入団テストを受け日本ハム入り。14年間のプロ野球人生を詰め込んだかのような1日だった。(Full-Count編集部)