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広島大学病院は、ウシオ電機の222nm紫外線ウイルス不活化・殺菌技術「Care222」を使って新型コロナウイルスの照射実験を行った結果、新型コロナウイルスを不活化する効果が確認されたことを発表した。
これは、中心波長222nm(ナノメートル、10億分の1メートル)の紫外線が、新型コロナウイルスの不活化に効果がある、ということを世界に先駆けて発表したものとなった。また、従来から殺菌などに使用されている波長254nm紫外線と比較して、波長222nm紫外線は人の目や皮膚に安全とされている。

この研究では、プラスチック上の乾燥した環境において、照度0.1mW/cm2の222nm紫外線を30秒間照射で、99.7%の新型コロナウイルス不活化を確認した。この研究により、222nm紫外線を用いた新型コロナウイルス感染症に対する感染対策への応用が期待される。
この研究成果は、2020年9月4日付けでAmerican Journal of Infection Control誌のオンライン版に掲載される。

●プラスチックに付着したウイルスに「Care222」照射実験
以下、広島大学病院の説明から編集部で加筆。
今回研究グループは、ウシオ電機製の紫外線照射装置「Care222」を使って、新型コロナウイルス不活化効果を調査、プラスチック上の乾燥した環境において、10秒間照射で88.5%、30秒間照射で99.7%の新型コロナウイルス不活化を確認した。一般的に用いられる定量逆転写PCR法(※1)は、不活化されて感染力のないウイルスも検出してしまうため、本研究では培養法を用いて紫外線によるウイルス不活化効果を評価した。

新型コロナウイルスが細胞を変化させる様子(左から右へ)。規則性を持って並んでいる細胞が崩されていく

「Care222」を使用しなかった場合は細胞の変性が見られたが(左)、Care222を照射した場合は細胞変性が見られず、効果の有効性が認められた
新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染、接触感染により伝播すると考えられてきた。実際に、新型コロナウイルス感染症患者を診療した病室のベッド柵などからも新型コロナウイルスが検出されいる。
従来、多くの医療機関において、消毒剤を使用して手による清掃を行ってきたが、紫外線などの非接触型ウイルス不活化技術にも注目が集まっている。
近年は、医療機関において紫外線などの非接触型殺菌・ウイルス不活化技術が徐々に使用されるようになってきたものの、これらの紫外線照射機の多くが「波長254nm紫外線」を使用しているため、人の目や皮膚にも悪影響がある。皮膚がんや白内障を誘発すると考えられている。そのため、人のいない環境に限定されて使用されている(人がいない環境にしてから、自律移動ロボットや遠隔操作ロボットで紫外線を照射して殺菌)。
一方、波長222nm紫外線は、254nm紫外線と同等の殺菌・ウイルス不活化効果を認め、254nm紫外線と比較して目や皮膚への障害性が少ないという報告が増加している。しかし、222nm紫外線によるインフルエンザウイルスや他のコロナウイルスへの不活化効果は報告されていたが、新型コロナウイルスへの不活化効果はこれまで明らかではなかった。
なお、Care222の生体への安全性(エビデンス)についてはウシオ電機より解説があり、222nm紫外線の照射には許容限界値(TLV)が定められていて、万が一、許容値(22mJ/cm2)の数十倍以上照射されたとしても皮膚や目に傷害が起こらないことが、弘前大学、コロンビア大、ハーバード大、神戸大学、島根大学等で確認されている、という。

定量逆転写PCR法:
定量逆転写PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は、逆転写酵素を用いてRNA を鋳型に逆転写を行い、生成された相補的DNA に対してリアルタイムPCR を行って目的のRNAを定量する方法。

●今後の展開
222nm紫外線の目や皮膚への安全性の報告が増加しており、今回新型コロナウイルスへの不活化効果が明らかになったことで、幅広いシーンで、有人環境下での222nm紫外線による新型コロナウイルス感染対策への応用が期待される、という。そのひとつとして照明器具メーカーと連携して、蛍光灯や室内灯に「Care222」を組み込んで使用することが考えられる。

222nm紫外線の光源から離れるほど、ウイルスの不活化に必要な時間は長くなる。また、この場合、ドアノブの下側や机の下など、光の照射の陰になる部分には効果は期待できない(照射の方法に工夫したい)

ウシオ電機「Care222モジュール」出荷開始:2020年秋、生産数:100万個/年(2021年1月〜)、販売価格:数万円/個(税抜)。
関連記事「【画期的】人がいても使える紫外線殺菌光源「Care222」をウシオ電機が発表 東芝ライテックと提携し、空港・ホテル・病院などで活用へ

社会への供給とユースケースのマイルストーン

【論文情報】:
掲載誌: American Journal of Infection Control
論文タイトル: Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination
著者: Hiroki Kitagawa, Toshihito Nomura, Tanuza Nazmul, Omori Keitaro, Norifumi Shigemoto, Takemasa Sakaguchi, Hiroki Ohge
DOI: 10.1016/j.ajic.2020.08.022

【研究支援】:
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)」の「既に開発・上市されている機器等(空気清浄機、UV殺菌装置、素材等)によるウイルス等感染症対策への有効性の確認を行う研究支援」
課題名:「新型コロナウイルス感染症に対する222nm紫外線を用いた感染対策に関する研究開発」(研究代表者:大毛宏喜氏)
(神崎 洋治)