車両が水没しただけであれば心配はない

 九州を中心に甚大な被害を巻き起こした「令和2年7月豪雨」。まず、被災された方にお見舞い申し上げます。また、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 近年、こうした豪雨による被害が目立つようになり、そのなかにはクルマが水没するという事態も多く見られる。そこで注目されているのが「電動車」の扱いだ。いま世界中でクルマの電動化が進んでいる。もちろん日本市場も例外ではなく、ハイブリッドを中心に、プラグインハイブリッドや電気自動車などが多数ラインアップされ、また数多く販売されている。

 そうした状況のなか、「水没した電動車両には触れてはならない」という情報も流れている。逆に「心配ないので触れて大丈夫」という話も聞かれる。当然触れてはならない理由は、感電の危険があるから、というものだ。これだけ電動車両が一般的であれば、正しい情報はドチラなのかを知っておく必要があり、電動車両の所有者以外でも、場合によっては救助や復旧作業に携わる可能性があるので、把握しておいたほうがいいだろう。

 そこで今回、e:HEV(イー・エイチイーブイ)という名称でハイブリッド車を多数ラインアップするホンダと、e-Power(イーパワー)などのハイブリッドに加えて電気自動車を展開する日産に、本当のトコロを確認した。

 まずはホンダから。

「ハイブリッドカーや電気自動車のバッテリー等の高電圧部品には、設計上さまざまな対策を施しており冠水しても感電の危険はありませんので、水没したクルマから自ら脱出する際や、乗車中の搭乗者の救出などは慌てずに、落ち着いた対応をお願いいたします」、とのことだ。

 水没したHVやEVに対してやってはいけないことがあるかどうかという質問に対しては、

「水没後は、パワースイッチをONしたり、充電をしたりしないでください」。

 もし電動車が破損していた場合はどうか?

「車両損傷などで高電圧部品内部の構成部品や高電圧配線の導体が露出していた場合は、絶対に触らないでください。レスキューに際しては、必ず絶縁保護具を着用し、パワースイッチをOFFにして、高電圧ケーブルや高電圧部品の露出部分に触れないように注意しながら作業を行ってください。車両の処置については、各自動車メーカーの正規ディーラーにお問い合わせをお願いいたします」、という回答だった。

 続いて日産。

「日産リーフは、冠水路走行等の実験をおこない、万が一浸水するような場合でも、感電や漏電が起こらないように徹底的に試験し設計しています。水没時においても車両に大きな損傷がない場合、感電の恐れはなく救助に支障はありません」、という回答。

 つまり、単純な水没に関しては、電動車両にはシッカリとした安全対策が施されており、脱出や救助で触れても問題がないということだ。災害時などは冷静な判断がし辛くなることもあるだろうが、正しい情報をもとに行動してほしい。

※写真はすべてイメージ