高校選手権決勝は青森山田と静岡学園のカードに。ともに高校屈指のタレントを抱える注目の対決だ。

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高校選手権 決勝
青森山田 − 静岡学園
1月13日(月・祝)/14:05/埼玉スタジアム

「とにかくまとまりがあって隙のない『絶対王者』ですよね」
 準決勝・矢板中央戦後に静岡学園の川口修監督がこう口にしたように、高円宮杯プレミアリーグで高体連初となる2度目の優勝を手にし、選手権2連覇という偉業に王手をかけた青森山田は、今の高校サッカー界において絶対的な存在だ。

 98回を数える全国高校サッカー選手権大会の決勝は、『絶対王者』に対し、実に24年ぶりの決勝進出を果たし、初の単独優勝を狙う静岡学園が挑むという図式となった。

「我々は守備のチームではないので、何点か取られるかもしれないけど、1点でも多く取れればいいという発想でいます」と川口監督が語ったように、静岡学園はドリブルとパスを融合させ、技術の連動でゴールをこじ開けるサッカーを『静学スタイル』として確立している。

 一方の青森山田は、「やりたくないことをどれだけ我慢してやり抜けるか。今回プレミアリーグでJクラブユースに勝って優勝したのは、やりたくないことをやり続けたチームが我々という証。サッカーの攻守に渡るボールを奪う攻防は、一番疲れることを前面に押し出しながら、みんなでやりたい。その後に必ず光が見えてくる。それを信じてやらないといけない」と黒田監督が語ったように、攻守におけるインテンシティの高さと一体感で相手組織を破壊していく。

 確固たるスタイルを持ち、それを高いレベルで表現できる両者が決勝で相まみえる。ポイントは青森山田の『ゴールを隠す守備』と静岡学園の『ディフェンスを剥がしていく攻撃』の対決だ。

「こういうスタイルのチームは良くも悪くも曲げる意識がない。自分たちのサッカーを貫き通して、それで勝ちたいというのがテクニカルなチームの特徴。プレミアでもそれをハイレベルでやってきたチームと対戦していますし、(ファイナルで対決した)グランパスU-18はかなりうまかった。慣れているのもあります」と黒田監督が語ったように、青森山田はストロングを前面に押し出してくる相手に、磨いてきた献身性と連動性がセットになった守備で跳ね返し、得意の高速カウンターで仕留め切るサッカーを変わらず表現するのみ。
 対する静岡学園は「我々のストロングを100%、120%出さないと勝てない。普通のパスワークでは崩せないと思っています。我々のストロングはドリブルですし、ドリブルとパスの変化の組み合わせ。ただドリブルで突っ込んでいくだけでは簡単に引っ掛けられるので、もう1人、2人、3人が絡みつつ、かつ全員に『相手のディフェンスを全力で倒しに行く』という発想がないといけない」と川口監督が語るように、単騎突破ではなく、サポートと3人目の動きを駆使して、グループで強固な組織にヒビを入れていく。これを90分間通して表現しなければ、こじ開けることができないと、磨いてきた技術だけでなく、強烈な覚悟を持って臨まないといけないと気を引き締めた。

 静岡学園には松村優太(3年)という強烈な個を組織として生かす術を全員が共有し、「攻守の切り替えを徹底してやってきた」とキャプテンでCBの阿部健人(3年)が語ったように、相手ボールになった瞬間にプレスを仕掛け、その間にディフェンスラインとボランチの藤田悠介がスピードを持って守備ポジションに入る。攻めっぱなし、個に頼りっぱなしではなく、技術を組織にきちんと反映させているからこそ、決勝まで勝ち上がってくることができた。

 青森山田は高校年代ナンバーワンの守備力をベースに、ボランチの古宿理久(3年)の展開力、松木玖生(1年)と武田英寿(3年)の圧倒的な個の打開力に加え、両サイドの推進力と1トップ・田中翔太(3年)の献身性と決定力という攻撃の武器も携える。川口監督の言葉通り、攻守の切り替えを少しでも怠れば、たちまち彼らの餌食となる。

 ともに一瞬でも隙を見せられない緊迫した攻防が繰り広げられるのは間違いない。今年の高校サッカーを締めくくるにふさわしいカードとなった選手権決勝。勝利の凱歌を挙げるのはどちらのチームか。3連休最終日は埼玉スタジアムの熱戦に注目してほしい。

文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)