采配に疑問が残ったハリルホジッチ監督。写真:サッカーダイジェスト

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[E-1サッカー選手権]日本1-4韓国/12月16日/味の素スタジアム
 
 試合前は、まさかここまで完膚なきまでに叩きのめされるとは思わなかった。北朝鮮と中国に連勝して、この流れなら韓国にも勝てるかもと期待を抱いていたが、結果は1-4の惨敗。ことごとくデュエルを制し、攻守ともに日本を圧倒した韓国のファイティングスピリットを褒めるしかない。
 
 日本は受け身に回ったというより、回らざるを得なかった。実際、昌子が「おそらく皆さんが思っている以上に韓国の寄せはめちゃめちゃ早かった」とコメントしているように、日本は韓国の猛烈なプレスに対して手も足も出なかったのだ。
 
 韓国の気迫に怖気づくようにチームの重心がグッと下がると、もはや日本はサンドバック状態になる。事実、シュート数は日本が5本で、韓国は16本。今振り返れば、よく4失点で済んだというゲームだった。
 
 これほど希望が持てない試合も珍しいが、ゲームを停滞させた原因のひとつはヴァイッド・ハリルホジッチ監督の采配にあった。1-3と突き放されて最初の45分間を終えて後半になにか修正してくるかと思いきや、ピッチに送り出した11人は前半と同じ顔ぶれだった。
 
 前半だけであれだけ崩されたチームに何も手を加えないのか、ハリルホジッチ監督のスタンスには明らかに疑問符が付いた。勝つ気はあったのか、と。
 
 ある意味、今回の韓国戦は内容云々より結果が求められていた。飛躍しすぎかもしれないが、ワールドカップ本大会と同じようなシチュエーションである。にもかかわらず、優勝がかかった、もっとも重要な韓国戦で終始低調なパフォーマンスだったのだ。これは、ロシア・ワールドカップでの惨敗を暗示するものではないのか。
 
 ここぞという時に力を発揮できない。これはワールドカップのような大舞台を戦ううえで間違いなく致命傷になる。その点、韓国の強靭なメンタルは素晴らしかった。先制されてもまるで動じず、そこからひっくり返すだけでなく、3点目、4点目と畳みかける。今大会の大一番、しかも相手が日本という試合で遺憾なく実力を示す韓国のプライドというか、勝負強さには脱帽するしかない。

【日本代表PHOTO】E-1選手権・第3戦の韓国戦。4失点の惨敗で優勝ならず…
 ただ、これがワールドカップの本番ではなくて良かったという思いもある。あくまで6月の本大会に向けた国際試合のひとつと捉えれば、ポジティブな要素も多少なりとも見えてくるかもしれない。
 
 例えば、日本はやはり強くないということを改めて認識できた点は悪くない。川又堅碁も「前半からチームとしてもっとガツガツ行きたかった。引いて点を取られるとなると、しんどくなる。やっぱり強いチームとやる時は、前から前から行くのが挑戦者のプレースタイル。そういうメンタル、実力がどうのこうのじゃなくて、そういうところの差じゃないかなと思う」とコメントしている。
 
 そういうところとは、おそらく「気持ちの部分」のことを指しているのだろう。今回のような韓国戦でも浮足立つことなく、本来の実力を発揮して戦うにはやはり経験が必要だ。その意味で、ほぼ代表歴が浅い選手で構成された日本は負けるべくして負けたのかもしれない。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)