共謀罪反対集会であいさつする民主党の菅直人代表代行(撮影:徳永裕介)

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国会で審議中の「共謀罪」新設に反対する集会が26日夜、東京都千代田区の弁護士会館で開かれた。与党側は衆院法務委員会において、28日に採決したい意向だが、出席者は「28日の採決は許さない」と訴えた。

 集会は日本弁護士連合会が主催し、民主・社民・共産各党の国会議員のほか、市民団体、労働組合の関係者、ジャーナリストなど500人以上が参加。あいさつに立った民主党の菅直人代表代行は「共謀罪を適用するためには、誰かが会話を警察に通報するか、警察が何らかの手段で会話を聞かないといけない。拡大解釈によって、私たちの生活の権利が脅かされる危険がある」と語った。社民党の福島瑞穂党首も「野党が共闘して反対する」と述べた。

 共謀罪は、2000年に国連で採択された国際組織犯罪防止条約を受け、政府が導入を目指している。しかし、政府案では適用範囲が越境組織犯罪に限定された同条約よりも広く、野党や日弁連は「思想弾圧につながる」「監視社会になりかねない」などと反対。これまで2度廃案になり、現法案は昨秋の特別国会からの継続審議となっている。21日には衆院法務委員会で、与党側が政府案とともに、自民党が提出した修正案の審議入りを強行した。

 自民党が提出した修正案については、日弁連で共謀罪の立法対策に取り組んでいる海渡雄一弁護士が「犯罪の適用範囲が広く、まったく限定されていない」と指摘。また、中村順英弁護士は「逮捕される可能性があるだけで、みんな怖くなり、今回のような反対集会には誰も参加しなくなる」と懸念を示した。

 集会では、共謀罪を扱ったビデオ「共謀罪、その後」を上映。脚本・プロデュースを担当したジャーナリストの寺澤有さんは、与党側が21日に審議入りを強行したことで、世の中の人が共謀罪に関心を持ったとした上で、「時間を引っ張って、多くの人に分からせれば、まだまだ(廃案に持ち込む)勝算はある」と話した。【了】

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