法務省は19日、「『組織的な犯罪の共謀罪』に対する御懸念について」と題する文書を発表した。

 今回発表した文書で法務省は、共謀について「特定の犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意」と規定。処罰の対象は「違法性が高く、結果が実現する可能性も高い『組織的な犯罪』を実行しようと共謀した者」で、「国民の一般的な社会生活上の行為が法案の共謀罪に当たることはない」としている。

 共謀罪については、監視社会をもたらす結果になりかねないとして日本弁護士連合会が反対しているほか、19日には国会内でNGOなど168団体が「市民の言論を封じて市民社会の広がりを妨げる悪法」と批判する共同アピールを発表した。

 共同アピールの呼びかけ人の一人であるピースボート事務局長の櫛渕万里さんは、今回法務省が発表した文書について「“特定”や“一般”を誰が、どんな基準で判断するのか一切明らかにされていない」と指摘。「このように明確な基準がなく、大きな枠での法律が一度できてしまうと、非常に恣意的な運用さえも可能になることを懸念しており、反対だ」と話している。

 共謀罪の新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は、21日に衆院法務委員会審議が再開される予定。03年3月に政府がはじめて国会に提出して以来、継続審議を繰り返し、すでに2度廃案になっている。【了】

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