19日、衆議院第2議員会館で行われた共謀罪反対アピールの発表会見。(撮影:徳永裕介)

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NGOなどの市民団体が19日、実際に犯罪行為をしなくても、相談しただけで罪に問える「共謀罪」の新設に反対する共同アピールを発表した。

 共同アピールを発表したのは、人権団体アムネスティ・インターナショナル日本や、ピースボート、グリーンピース・ジャパンなど。168団体と、82人の個人が賛同した。

 共同アピールでは、共謀罪について、「“相談した”だけで処罰できるため、市民活動そのものを脅かし、市民の言論を封じて市民社会の広がりを防ぐ悪法だ」と批判。市民の言論が守られることは、民主主義の根幹であり原則と訴えている。具体的には、市民団体などが政府や企業に意見を届けようとした場合、その行為が業務妨害とされると、事前に協議した市民団体のメンバーも共謀罪で逮捕される危険性があるという。

 東京都千代田区の衆議院第2議員会館で行われた会見で、グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳さんは「共謀罪ができると、政府に文句を言う人間はすべてつぶせるようになる」と指摘。会場からは「お上の許す範囲内でしか自由はないのか。市民が政府を監視する自由もあるはずだ」「戦前の治安維持法の復活だ」との声があがった。

 また、ピースボート事務局長の櫛渕万里さんは「政府は『民間でできることは民間で』と言い、NGO・NPOがたくさんできた。それが共謀罪で民間の手足を縛るということになると、将来どうなってしまうのか」と懸念を示した。

 共謀罪は19世紀に、イギリスで労働運動弾圧の際に適用された歴史がある。日本弁護士連合会も、共謀罪では人々の会話・電話・メールの内容そのものが犯罪となるため、監視社会をもたらす結果となりかねないと、反対を表明している。

 共謀罪の新設を柱とした組織犯罪処罰法などの改正案について、衆院法務委員会が21日から審議を再開する。【了】

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