野生イノシシ向けの豚コレラワクチンの安全性について審議していた、内閣府食品安全委員会の動物用医薬品専門調査会は3日、ワクチンを摂取したイノシシの肉などを人間が食べても健康に影響はないとする評価案をまとめた。同委員会は17日まで一般からの意見募集(パブリックコメント)をする。その結果を踏まえて早ければ4月中にも最終的な評価を決める。

 農水省は豚コレラの発生を抑えるため、野生イノシシへの生ワクチンの使用を開始。その一方で、ワクチンを食べた野生イノシシの食用に問題がないか同委員会に評価を求めていた。

 専門調査会がまとめた評価書の案は、豚コレラウイルスに人への病原性がないことや、ワクチンに含まれる添加剤が人の健康に影響しないことから、ワクチンを食べたイノシシに由来する食品について、人の健康に影響を与える可能性は「無視できる程度」とした。

 2日の同委の会合では、専門調査会が出した評価書案の内容に対する意見はなく、おおむね了承された。意見募集は通常30日の期間を設けるが、今回は15日間と短くした。

 農水省が審議の迅速化を求めていたため。2004年の鳥インフルエンザの不活化ワクチンの安全性評価で15日間にした例にならった。