北陸新幹線を走る4列車の停車駅。

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来年春に開業する北陸新幹線の停車駅を巡って、沿線自治体から異論が続出。富山県と新潟県から相容れない要望が出されるなど、泥沼化の様相を呈しています。列車の停車を目指す歌も作られました。

停車駅が異なる4種類の列車

 2015年3月14日に金沢駅まで延伸開業する北陸新幹線について、その停車駅を巡る沿線各県の綱引きが泥沼化の様相を見せています。

 まず北陸新幹線で予定されているダイヤ、列車についておさらいです。

●「かがやき」
東京〜金沢間直通で、停車駅が少ない速達タイプ。10往復運転。

●「はくたか」
東京〜金沢間直通で、停車駅が多いタイプ。14往復運転。それと合わせ、長野〜金沢間のみで運転される列車も1往復運転。

●「あさま」
東京〜長野間の運転で一部の駅を通過する。16往復運転。

●「つるぎ」
富山〜金沢間の運転で各駅停車。18往復運転。

 こうした現在予定されている運行計画について、沿線自治体から異論が噴出。富山県と新潟県の関係者が、相容れない内容を同じ日にJRへ対し要望する状況になっています。

「かがやき」停車を求める歌も

 2014年9月18日(木)、富山県の石井知事が北陸新幹線の停車駅について、JR西日本の真鍋社長に対し次のような主旨の要望を行いました。

・停車駅が少ない速達タイプの列車「かがやき」が富山県内で停車する駅は、現状では富山駅だけ。新高岡駅など、富山県内にあるそれ以外の駅にも停車するようにして欲しい。

・停車駅が多いタイプの列車「はくたか」について、東京〜富山県間の所要時間を減らすため、群馬・長野県内の停車駅が少ない列車を増やしてほしい。

 また同じく9月18日(木)、新潟県の幹部と同県上越市、糸魚川市、妙高市の市長がJR東日本とJR西日本の本社を訪問。北陸新幹線について、次のような主旨の要望を行いました。

・停車駅が少ない速達タイプの列車「かがやき」について、新潟県内の上越妙高駅、糸魚川駅にも停車するようにしてほしい。

・停車駅が多いタイプの列車「はくたか」について、東京〜新潟県間の所要時間を減らすため、群馬・長野県内の停車駅が少ない列車を増やしてほしい。

・東京〜長野間のみで運転される「あさま」、富山〜金沢間のみで運転される「つるぎ」について、新潟県内まで延長運転してほしい。

 仮に両県の要望に応えたとしたら「かがやき」は停車駅が多くなり、その特徴である速達性を失います。そのため富山県の本音としては、同県内でのみ「かがやき」の停車駅が増えることが重要で、新潟県の要望する「かがやき」新潟県内停車は受け入れたくないでしょう。また停車駅の増加は金沢駅への所要時間増加に繋がるため、今度は石川県から異論が出てくることも考えられます。

 そして「はくたか」の停車駅について、富山・新潟両県の要望を受け入れると、やはり今度は長野県と群馬県から不満が出てくる可能性があります。

 思惑がそれぞれ入り乱れる北陸新幹線の停車駅問題。9月17日には富山県の高岡青年会議所が「新幹線応援・新高岡駅停車応援ソング かがやき」を公開するなど、動きはしばらく収まりそうにありません。

・「新幹線応援・新高岡駅停車応援ソング かがやき」
https://www.youtube.com/watch?v=rkjmT3rnrrA