将棋の第74期王座戦挑戦者決定戦が8月5日、東京・千駄ケ谷の「将棋会館」で行われ、藤井聡太竜王・名人(王位、棋聖、棋王、王将、24)は広瀬章人九段(39)に117手で敗れ、伊藤匠王座(叡王、23)への挑戦権を逃した。昨年の王座戦でタイトルを失った藤井竜王・名人にとって、王座奪還と七冠復帰を懸けた大一番だったが、あと一歩のところで白星を逃す結果となった。

【映像】乱高下する終盤戦の勝率グラフ(実際の映像)

 振り駒で広瀬九段の先手番となった本局は、相掛かりの出だしから広瀬九段が前例のない形へと持ち込む工夫を見せた。序盤はスローペースでの進行となったものの、中盤の飛車角交換を経て本格的な戦いが始まった。後手の藤井竜王・名人が鋭い反撃に出て主導権を握ると、迫力のある桂跳ねからノータイムで飛車を切り飛ばす猛攻を展開し、一気に終盤戦へと突入した。

 夕食休憩を挟んだ夜戦でも、藤井竜王・名人が優位に立ち攻め込む展開が続いた。しかし最終盤、藤井竜王・名人がそのまま押し切るかと思われた局面で、攻めを継続せず手を戻す判断をしたことで盤上の形勢が一変してしまう。防戦一方で苦しい時間を過ごしていた広瀬九段にこの一瞬の隙を突かれ、待望の反撃を許してしまうと流れは完全に逆転。最後は実力者ならではの鋭い指し手に追い込まれ、痛恨の逆転負けを喫した。

 この結果、藤井竜王・名人の王座挑戦は叶わず、「王座奪還」と「七冠復帰」は来期以降への持ち越しとなった。同学年の伊藤王座との因縁のリベンジマッチや、3年ぶりの“挑戦者”としての舞台帰還への期待も高まっていただけに、悔やまれる敗戦となった。

 なお、激戦を制した広瀬九段が伊藤王座に挑む五番勝負は、来月2日に開幕。広瀬九段は2022年の竜王戦七番勝負以来、約4年ぶりのタイトル挑戦が決定し、「最近は出来不出来が激しく、挑戦できると思っていなかったが、王座戦に関しては星が集まった。久しぶりの大舞台になるので精一杯頑張りたい」と自身初となる王座戦五番勝負を見据えていた。

 一方、敗れた藤井竜王・名人は、「残り1時間を切ったあたりから悪手が続いてしまった。そのあたりを改善していかなければいけない」とコメントし、肩を落としていた。

<第74期王座戦五番勝負 日程・対局場>

第1局 9月2日(水)神奈川県秦野市「元湯陣屋」
第2局 9月15日(火)愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル
第3局 10月2日(金)北海道ニセコ町「ニセコ温泉郷 いこいの湯宿 いろは」
第4局 10月14日(水)兵庫県神戸市ホテルオークラ神戸」
第5局 10月27日(火)山梨県甲府市「常磐ホテル

ABEMA/将棋チャンネルより)