W杯の結果は「仕組まれていた」のか…真偽はともかく勝敗はもはやピッチ上だけでは決まらない【現地発 北中米W杯は今日もクレージーだった!】#18
【現地発 北中米W杯は今日もクレージーだった!】#18
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ボンジーア! W杯は幕を閉じたけど、クレージーな騒ぎはまだ終わらない、というより、今盛り上がっていることがある。この大会は全て「筋書き」の上に行われたというウワサが、まことしやかに流れたんだ。
まず大会中に持ち上がったのが「FIFAはアルゼンチンを優勝させようとしている」という陰謀説だ。アルゼンチンの道のりを見ると、準決勝でFIFAランキング4位のイングランドと戦うまで、13位より上のチームと一度も対戦しなかった。さらにメッシの危険プレーが見過ごされたり、相手のゴールが取り消されたり、アルゼンチン寄りの怪しいジャッジにVARが介入しなかったりと、「審判に助けられている」ってSNS上で話題になった。
サポーターだけじゃない。相手チームの監督やニューヨーク市長も疑問を投げかけ、ついたニックネームが「VARゼンチン」もしくは「アルゼンFIFA」。
それなのに、決勝で敗れた。そうすると、今度はアルゼンチンのサポーターやメディアが陰謀説を唱え始めた。「不当な圧力によって負けた」ってね。確かに決勝のアルゼンチンには首をひねりたくなることも多かった。
「なんでスカローニ監督はこれまでゴールを決めていたラウタロ・マルティネスを使わなかったのか」「なんで攻撃的なチームがほとんど自陣でプレーするような戦術を取ったのか」「なぜシュートが少なかったのか」
今、アルゼンチンではその証拠集めに余念がない。内容は実に多彩だ。
「アルゼンチンサッカー協会会長は、カタール大会で優勝した時、賞金関係で脱税している。それを明るみに出したくなかったら負けろとFBIに脅された」「イングランド戦後、アルゼンチンの選手が『フォークランドは我らのもの』という横断幕を持ち込んだのは、次のW杯出場停止に値する。それを不問にするから負けるように言われた」「アルゼンチンの選手たちは、もし勝ったら子どもの命が危ないと脅されていた」と物騒なものもあった。
確かに決勝のスタンドにアルゼンチン選手の子どもたちの姿は見当たらなかった。いつもユニホーム姿で応援に来ているメッシの家族も来ていなかったよ。メッシが試合前、「全てを忘れよう」と仲間に呼び掛けている姿がテレビカメラに映っている。この「全て」とは、もしや脅迫のことでは? なんて臆測まで飛んでいる。
なぜFIFAがスペインを勝たせたかったかには、こんな推理がある。
「FIFAとUEFA(欧州サッカー連盟)は犬猿の仲だが、次の選挙のためにFIFAのインファンティーノ会長はヨーロッパの支持が欲しい。そこで、欧州のチームを優勝させることにした」
最もうまくできていると思ったのはこんな説だ。
「FIFAの大会を成功させるには、サッカー界に新しいスターが必要。しかし、メッシ、C・ロナウド、ネイマールの時代は終わった。そこで浮上するのがスペインの若きエース・ヤマルだ。メッシの時代が終わり、ヤマルの時代が始まる。そんな筋書きになっていたのではないか」
もちろん、真偽のほどはわからない。ただインファンティーノが大会後、「賛辞の手紙」をアルゼンチンサッカー協会にだけ送っていた。
2030年のW杯で1試合しか行わないアルゼンチン(ウルグアイとパラグアイも同様)に開催国としての予選免除権を与えるのを見ると、必死にアルゼンチンに気を配っているように見えてしまうよ。
ひとつだけ言えることは、サッカーの勝敗はもはや、ピッチ上だけでは決まらないってこと。もうみんなが感じ始めているんじゃないかな。 (おわり)
(Ricardo Setyon/ジャーナリスト)
▽翻訳=利根川晶子(とねがわ・あきこ)埼玉県出身。通訳、翻訳家。1982年W杯でイタリア代表タルデッリに魅せられ、89年にイタリア・ローマに移住。「ゴールこそ、すべて」(スキラッチ自伝)など著書、訳書多数。
