批判を受けても前代未聞の「W杯売却構想」は撤回せず…UEFAに“アンサー”したFIFAの声明に英記者が謝罪要求「反発の強さを全く理解していない」

トランプ大統領らの強力を得ながら、国際的な力を誇示してきたインファンティーノ会長(C)Getty Images
FIFAは「計画の撤廃」を明言せず
「誰も『サッカーを売る』ということはない。これは、FIFAが検討していると意図しているものでもない」
国際サッカー連盟(FIFA)は、管理権を持つワールドカップなどの主要国際大会の商業事業を管理する新会社「FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)」の設立と、株式の一部(20〜30%)を民間投資家に売却する計画について、現地時間7月31日に新たな声明を公表した。冒頭の言葉は、その中で高まる批判に異を唱えた部分である。
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国際大会、ひいてはサッカーの商業化を推し進めるジャンニ・インファンティーノ会長が極秘裏に進めていた計画は、世界的な大批判を頂戴し、各国サッカー協会からも反発を招いた。その中で最も強い意見を飛ばしたのは、欧州サッカー連盟(UEFA)だった。
加盟する全55か国のサッカー協会が「計画の撤廃」を要求し、W杯などの主要国際大会をボイコットする考えがあることを示したUEFAは、「ワールドカップは民間投資家に譲渡されるべきではない。サッカーは売り物ではない」と反論していた。
そうした中で「世界中の211の加盟協会すべてを代表すると主張できる単一の組織は存在しない」とした上で「誰も『サッカーを売る』ということはない」としたFIFAの答えは、世間への明確な“アンサー”と言えよう。
今回の声明内で「サッカーの商業的機会に対して有意義な形で主体性を持てるようにすること」「サッカーそのものの精神やガバナンスを犠牲にすることなく実現されるようにすること」を“目的”としたFIFA。だが、彼らはFFEの設立と民間投資家に売却計画を見直すという考えは示さなかった。つまりインファンティーノ会長は、すでに進行してしまっているプロセスを止める考えを持っていないということになる。
となれば、UEFAを筆頭に反対声明を出している組織との衝突は深まる一方。サッカー界にかつてないカオスと分裂が生まれる危険性は高まる。
当然ながら、欧州の主要メディアでは頑なに計画を改めようとしないFIFAに驚きの声が強まっている。「これは全面戦争だ」と強く訴えたフランスのスポーツ専門ラジオ局『RMC Sport』は「何を受け入れるかではなく、何を拒否するかで評価される時がある。我々はまさに今、その時を生きている。売ってはいけない、あまりに大切なものがある」と問いかけた。
「インファンティーノは窮地に陥っている」
FIFA、ひいてはインファンティーノ会長に対するシビアな意見も飛んでいる。英衛星放送『Sky Sports』のカヴェ・ソルヘコル記者は「必死だけど的外れ」と最新の声明に記された内容を批判。「FIFA内部には、インファンティーノ会長に対して賛同している人はどれくらいいるのだろうか?」と怒りと疑問を投げかけた。
「今、インファンティーノは窮地に陥っており、これ以上事態を悪化させるのをやめるべきだ。まずは周囲の空気を読むようにならなければならない。そして、自身の権力が衰え始めているという事実を受け入れ、サッカー界、そして世界中のファンに謝罪することから始める必要がある」
さらに「インファンティーノはメディアを非難するのもやめるべきだ。彼には異常な執着がある。どうやらドナルド・トランプ大統領の影響を受け、メディアを執拗に攻撃し続けるのが良い考えだと思っている」と同大統領との“蜜月の関係”を皮肉ったソルヘコル記者は、「インファンティーノは今の方針を転換する必要がある」と、FIFAの現体制を糾弾している。
「自分が招いた事態を完全に理解し、謝罪を始めなければ、インファンティーノはサッカー界どころか、自分すら救えない。彼は何度も窮地に立たされてきたが、そのたびにうまく切り抜けてきた。しかし、今回ばかりは、本当に、本当に深刻な状況に陥っていると思う。これは彼がこれまで直面した中で最大の危機であり、その原因はすべて自身の行動にある。自業自得なのだ。
彼がここからメディアや反発する組織を非難し続けながら、計画のプロセスを進めていけるかどうかは疑問だ。世界的な反発の強さを、彼自身はおそらく全く理解していない。彼は『すべては些細な騒ぎだった』と平静を装い、何もなかったと生き残ろうとしている」
サッカー界はどうなってしまうのか。インファンティーノ会長と一部の投資家が生んだ一大騒動はまだまだ波紋を広げそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

