岡本は前半戦で22本塁打(トロント・ブルージェイズの公式Instagramより)

写真拡大

岡本の株が急上昇

 MLBア・リーグ後半戦の主役は、村上宗隆(26=シカゴ・ホワイトソックス)と岡本和真(30=トロント・ブルージェイズ)だ。

【写真15枚】「危な〜い!」敵にファールを注意する試合中の大谷翔平、大活躍の村上宗隆、山本由伸に佐々木朗希、海の向こうで活躍する日本人選手

 右太股裏を痛め、負傷者リスト(IL)入りしていた村上は7月10日(現地時間)のアスレチックス戦から復帰。今、ホワイトソックスはア・リーグ中地区の首位に立っており、昨季まで3年連続で100敗以上を記録したチームとは思えないような強さだ。村上はチームを立て直した第一人者として捉えられており、今季の有力な新人王候補ともなっている。

岡本は前半戦で22本塁打(トロント・ブルージェイズの公式Instagramより)

 その「新人王レース」に急浮上してきたのが、岡本だ。

「岡本の本塁打数が前半戦だけで22本となりました。日本人メジャーリーガーの1年目の最多本塁打数は、18年にエンゼルス時代の大谷翔平が記録した22本です。『大谷の記録を抜く可能正が極めて高い』ということで、米国の野球メディアでも多く紹介されていました」(現地記者)

 大谷に並ぶ22号アーチが出たのは、現地時間7月10日のサンディエゴ・パドレス戦だった。同点で迎えた5回に出た3ランで、この一打が決勝点となった。試合後のヒーローインタビューにも呼ばれ、「大谷に並んだこと」への質問も受けたが、

「1試合1試合、しっかり準備してやっていきたいと思います」

 と謙虚に語るだけだった。このまま順調に本塁打を積み重ねていけば、次に見えてくるのは昨季、シカゴ・カブス鈴木誠也(32)が作った日本人右打者のシーズン最多本塁打数32本超えだ。シーズン後半戦の岡本は相手チームからのマークも厳しくなり、5試合連続でのノーヒット状態(日本時間22日現在)。とはいえ、昨季の鈴木の記録まで「あと10本」である。決して難しい数値ではない。

 後半戦が始まる直前、米スポーツメディア「Clutch Points」はア・リーグ新人王争いの行方をこう予想していた。

「新人王争いの本命はこれまでデトロイト・タイガースの内野手、ケビン・マクゴニグル(21)か、村上宗隆とされてきた。しかし、岡本はマクゴニグルの2倍以上の本塁打を記録している。また、村上には負傷欠場期間があったとはいえ、岡本はすでに村上を18打点ほど上回っている。村上のOPS(出塁率+長打率)が9割3分8厘であったのに対し、岡本は7割7分6厘。マクゴニグルはWAR(勝利貢献度)4.9をマークしているが、岡本は1.9にとどまっている。岡本のOPSが低いのがやや気になるが、好調期に入れば、すぐに上がる」

 つまり、マクゴニグルを含めた3選手の僅差での争いが続くというわけだ。

ブルージェイズはレギュラー選手の多くが不振に陥っており、チームもア・リーグ東地区の最下位です。岡本が孤軍奮闘している状態です」(前出・同)

岡本VS村上

 岡本の後半戦スタート試合はノーヒットとなってしまったが、この躓きが新人王レースにも影響してきそうだ。というのも、その後半戦の相手は村上のいるホワイトソックスだったのである。

 2人の3連戦の成績だが、岡本は「4番・三塁」で出場したものの、11打数ノーヒット。「2番・一塁」で出場した村上は10打数2安打。どちらも誇れるような成績ではないが、

「6月から岡本が4番に入る試合が多くなりました。岡本が打つか打たないかが、そのままチームの勝敗に直結しています」(米国人ライター)

 との声も聞かれた。カナダの地元メディア「Blue Jays Nation」も「紛れもなく、岡本のチームだ。彼はこの攻撃陣の生命線になっている」と伝えていた。村上についても、ホワイトソックスのウィル・ベナブル監督(43)がこう評している。

「彼が戻ってきたことで打線に火がついた。ムーニー(村上)が打線にいる意義は大きい。安打や本塁打が出なかったとしても存在感がある」

 これは前半戦最後のアスレチックス3連戦を終えたときに言ったもので、ブルージェイズとの3連戦中も繰り返し語っていた。岡本、村上はチームを背負う中核選手であり、単なる新人ではないのだ。

「地元メディアも伝えていたように、主力選手の大半が打撃不振のため、岡本がチームの生命線になっています。それに対し、ホワイトソックスでは村上に引っ張られるように、コルソン・モンゴメリー(24)とミゲル・バルガス(26)も覚醒しました。前半戦は村上一人に相手投手のマークが集中していましたが、今は違います。ブルージェイズとの3連戦では村上が打てなくても他の選手が打ち、2勝1敗と勝ち越しました。こうしたチームの成績も新人王レースの投票に影響してくると思います」(前出・同)

 対する岡本だが、後半戦に入って相手投手からのマークもさらに厳しくなってきた。また、村上はオールスターゲームに選出されたが、岡本は選ばれていない。2人の実力は米国の野球ファンも認めているが、OPSで後れを取っている岡本が新人王レースで巻き返すためには、直接対決で村上を上回る活躍を見せる必要もあったようだ。

もう一人の新人王候補

「タイガースのマクゴニグルは、ペナントレースが始まった直後の4月に34年までの8年総額1億5000万ドル(約225億円)の契約を結びました。昨季、マイナーで3割超えの打率と4割強の出塁率を残しており、今季後半戦に昇格してくるのではないかと見られていましたが、開幕戦からスタメンでした。村上の3−4月の月間新人王を阻み、選ばれたのが彼です。『6番・三塁』でメジャーデビューし、その後も好調さをキープしています。今年22歳になる未知の選手と8年もの長期契約を結んだということは、チームの未来を託したのも同然。小柄ですが、走攻守の全てが優れています」(前出・同)

 岡本は巨人、村上はヤクルト出身。そしてタイガースのマクゴニグルで新人王レースが繰り広げられていると聞くと、日本のセ・リーグの上位3チームと同じ構図だ。但し、ベナブル監督は村上を評するとき、現役時代にパドレスで同僚だったエイドリアン・ゴンザレス元一塁手の名前を出し、「エル・ティタンみたいだ」とも語っている。エル・ティタンはゴンザレス元一塁手の異名であり、「巨人」を意味する。

 新人王レースではマクゴニグル優勢の声も聞かれたが、岡本、村上は日本でもチームを牽引する重圧と戦ってきた。日本人選手の巻き返しにも期待したい。

デイリー新潮編集部