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「目が開かない」――週末の朝、目覚めた瞬間に異変を感じた。

【写真を見る】「何もできん」まぶた腫れ、大量の目やに…“はやり目”で社会生活が完全停止した 原因はプール熱と同じウイルス、24時間以上も生存

スマホの光すら苦痛に…

上下のまぶたが固まった目やにで完全にくっつき、無理に開こうとすると焼けるような激痛が走る。鏡をのぞくと、白目は充血で真っ赤に染まり、まぶたは別人のように腫れ上がっていた。

筆者は仕事柄、スマホやパソコンは手放せない。しかし、この日から状況は一変する。画面のわずかな光さえ目を刺激し、涙があふれて止まらない。倦怠感も重なり、苦痛の連鎖が次々と襲ってきた。

「もはや何もできん」

週明けの月曜。私は激痛に耐えながら出社したものの、すぐに眼科へ向かった。診断の結果は「流行性角結膜炎(はやり目)」。原因は、夏場に子どもの間で流行する「プール熱(咽頭結膜熱)」と同じアデノウイルスだという。

「プール熱」と何が違う?

 同じウイルスでも、症状の出方は大きく異なる。プール熱が咽頭炎や発熱を伴うのに対し、はやり目は結膜の充血、大量の目やに、まぶたの腫れが強烈に現れる。

おかだ眼科・岡田院長:
「プール熱も流行性角結膜炎も、同じアデノウイルス感染による病気です。最初に鼻や喉に感染した場合、発熱や咽頭炎を伴うプール熱になりますが、眼の粘膜に直にウイルスが入った場合、高確率で流行性角結膜炎を発症します。また、子どもより大人の方が眼症状が強く、重症化しやすい傾向にあります」

職場のドアノブ、洗面所、立ち寄った飲食店――日常のあらゆる場面で手は何かに触れている。そのどこかで、ウイルスは私の指先に付着していたのだろう。

岡田院長:
「主な感染ルートは接触感染です。感染者の目やに、涙に含まれるウイルスが手、ドアノブ、タオルなどを介して他の人の目に触れることで感染します。また、プールや公衆浴場などの水辺はウイルスが長生きしますので、不特定多数に感染が広がる可能性があります」

受診前の「自己判断」が症状を悪化

さらに、発症初期に私がとった行動が、症状を大きく悪化させていた。

あまりの激痛と不安で夜も眠れない。少しでも気を紛らわせようと、つい手が伸びた晩酌のビールと焼酎。これが裏目に出てしまった。

岡田院長:
「免疫への影響については不明ですが、炎症があるときにアルコールを摂取すると、炎症がさらに強まる傾向があります」

週末、受診までのつなぎで使った市販の抗菌目薬も、あまり効果がなかった。

岡田院長:
「ご自宅でアデノウイルス感染症かどうか判断するのは困難です。病院で正しい診断・薬の処方をしてもらうことをお勧めします。ただし、ウイルスを死滅させる点眼薬はなく、あくまでも炎症を抑え、症状や合併症を軽減させる目的で使用します。重要なのは自宅で安静にし、他に感染を広げないことです」

治療は「対症療法」、出勤停止は不可避

アデノウイルスに直接効く抗ウイルス薬は、現時点では存在しない。治療の基本は、症状を抑えながら自然治癒を待つ対症療法だ。

私が処方されたのは、炎症を抑えるステロイド点眼薬と、細菌の二次感染を抑える点眼薬の2種類。1日4回点眼する生活が始まった。

症状は約1~2週間で自然に回復していくが、角膜の混濁が残った場合は、その後も数か月にわたって点眼治療を続ける必要があるという。

岡田院長:
 「流行性角結膜炎は、感染力が非常に強い『5類感染症』です。学校保健安全法では『症状がなくなるまで出席停止』です。職場などは、医師の許可が出るまで休むのが望ましいです。特に免疫力が低下している方が多くいる場所(病院や老人ホームなど)は注意が必要です。過去に流行性角結膜炎により一時閉鎖になった病院もあります」

あらゆる場所に潜むウイルス

感染スポットは「ドアノブ」「吊り革」など日常のあらゆる場所に潜む。夏場はプール熱も流行する季節。はやり目との同時流行も懸念される。

岡田院長:
「乾燥した場所でもウイルスは24時間生存し、洗面所、トイレ、お風呂などの水回りはそれ以上に長く生存します。目の充血や目やにが見られたときは、プールには入らず、病院を受診し、適切な処置を受けましょう。症状が出ていない状況から完治するまで1週間から2週間程かかります。感染が分かってからは、人に感染させないように公共の場に外出することを控えましょう」

私はゴールデンウィークのすべてを自宅での隔離生活に費やした。処方された点眼薬を欠かさず使い、飲酒を断ち、画面を見る時間を最小限に抑えた。約10日後、ようやく充血が引き、視界に光が戻ってきた。角膜の濁りもなく、視力への影響はなかった。

岡田院長は「残念ながら予防法はありません」と言う。だからこそ、できることをするしかない。

流水と石けんによる丁寧な手洗い。そして、目を不用意に触らないこと。それが、この厄介なウイルスに対する最善の防衛策だ。