記事のポイント
感情に訴えるホリデー体験施策により、SNS反応と来店体験の両立に成功した。
リアル施策を起点にSNS拡散を連動させ、TikTok表示が大幅に伸長した。
多世代向けギフト体験と実店舗重視が、継続的な顧客獲得を後押しした。


ケンドラ・スコットは、新たなライフスタイルカテゴリーへと事業を拡大し、年間売上高5億ドル(約775億円)超を積み上げるなかで、2025年のホリデーキャンペーン「ユー・メイク・ザ・シーズン(You Make The Season)」を通じ、幅広い世代にまたがる顧客の感情に訴えかけている。

「我々の使命は常に顧客第一であり、このホリデーシーズンも例外ではなかった」と、ケンドラ・スコット氏は語る。

「『ユー・メイク・ザ・シーズン』は、シンプルでありながら力強いメッセージを届けている。もっとも大切な瞬間とは、顧客が誰とそれを分かち合うかによって定義されるということだ」。

SNSとリアル施策を連動させたクロスチャネル拡散



このキャンペーンは、ノスタルジーやつながり、そして体験型リテールを前面に押し出し、まるで家族のアルバムから切り取ったかのようなクリエイティブで構成されている。

祖父母がパジャマ姿の子どもを抱きしめる場面や、ジンジャーブレッド作りのひととき、ギフトを手渡す瞬間のクローズアップなどが含まれる。

11月21日から12月10日にかけて、ケンドラ・スコットのインスタグラムのコンテンツ視聴数は前年同期比で85.9%増加し、TikTokのインプレッションは551%急増した。これは、ブランドのリアル施策を起点としたクロスチャネルでの連動拡散によるものである。

このキャンペーンには、実店舗での施策といったフィジカルな要素も含まれており、こちらも高い反響を得ている。12月は歴史的に、ケンドラ・スコットにとってもっともギフト需要が高まる時期である。

顧客参加型「Together for the Holidays」コンテスト



「顧客がいる場所に寄り添う」ことを意図し、同ブランドは11月24日に「トゥギャザー・フォー・ザ・ホリデーズ(Together for the Holidays)」コンテストを立ち上げ、ホリデープログラムを開始した。

これは、KendraScott.com上の特設ランディングページやソーシャルチャネルを通じて、顧客が個人的なストーリーを投稿し、家族や選んだ家族に会うための帰省旅行を全額負担で獲得できるチャンスを提供するものだ。

「誰もが『家のように感じる人たち』とこの季節を過ごす価値がある」とスコット氏は語る。「これは単なるジェスチャーではなく、一年でもっとも重要な時期のひとつに、実在の人々の人生に意味ある影響を与えるものだ」。

ブランドによれば、このコンテストは応募目標を20%以上上回り、数千件の応募が集まった。その結果、チームは追加の準優勝者に対しても、渡航支援や厳選ギフトをサプライズで提供することができたという。

ロサンゼルスでのポップアップが生んだ大型エンゲージメント



12月5日と6日には、ロサンゼルスで「ケンドラ・スコット×ブース・バイ・ブライアント(Kendra Scott×Booth By Bryant)」と名付けられた、ジンジャーブレッドをテーマにしたポップアップを開催した。

会場にはブース・バイ・ブライアントのフォトブースが設置され、行列が途切れることはなかった。

「ホリデーが終わったあとも残る、懐かしさと記念品になる体験を顧客に提供したかった」とスコット氏は語る。ブランドによれば、この施策は重要市場における意味あるブランディングの機会となり、インプレッション、エンゲージメント、動画視聴を含め、関連するソーシャル上の反応は約3000万件に達した。

他ブランドとの協業で広げる体験価値と購買効果



12月4日から7日にかけては、ジョーンズ・ロード(Jones Road)と提携し、選定されたケンドラ・スコット店舗でインストアのバームバー施策を実施した。

メイクアップアーティストが簡単な肌補正や色味のマッチングを行い、あわせてジョーンズ・ロードの「クール・グロス(Cool Gloss)」ピンクシマーの購入特典も提供された。ブランドによると、このコラボレーションにより、対象商品のEC販売は施策期間中に95%の消化率を記録した。

Z世代の価値観を捉えたリアル体験重視の設計



市場調査会社アークライバル(Archrival)が2024年に発表したレポートによれば、Z世代の74%が「デジタル体験よりもリアル体験のほうが重要だ」と回答している。

「このインサイトが、触覚的で意味のある体験を通じてホリデーキャンペーンを具現化する方法を考えるきっかけになった」とスコット氏は語る。

ブランドはその勢いを維持し、12月13日と14日の週末には、ミルク・バー(Milk Bar)のジンジャーブレッド・クッキー・トリュフを一部店舗で無料提供し、繁忙期の来店客にさらなる驚きと喜びを添えた。

多世代に支持されるブランドポジションと価格帯



ケンドラ・スコットは現在、米国全土に168店舗を展開しており、2025年だけで25店舗以上を新規オープンした。長年のロイヤル顧客と、「#RushTok」といったカルチャー的な文脈を通じてブランドを知った若年層の双方から、強い支持を得ている。

同ブランドは、マルチカラーのストーンと手に取りやすい価格帯で知られており、多くの顧客が大学時代に初めて出会い、その後大人になってからも生活に取り入れていくという。

主力のジュエリーは50〜150ドル(約7750〜23250円)で、35ドル(約5425円)から購入可能である。一方、数千ドル(数十万円規模)に及ぶファインジュエリーも展開している。

「(ティーン世代は)下の世代に影響を与え、同時に母親世代にも影響を与える」とスコット氏は語る。

事業成長と新カテゴリー展開を支える投資家評価



2024年、ケンドラ・スコットの売上高は前年同期比で約30%成長した。ブランドによれば、2025年も店舗とECの双方で成長が続き、想定を上回るペースで推移しているという。

同社はこれで19四半期連続の増収を報告している。2024年後半には、イエロー・ローズ(Yellow Rose)名義でアイウエアやカウボーイブーツといった新カテゴリーにも進出し、ジュエリー以外での顧客接点を広げた。

この方向性に対する投資家の信頼は、2024年9月に実施されたシンガポール拠点の65エクイティ・パートナーズ(65 Equity Partners)による重要な少数株式投資によって裏付けられた。この取引により、同社の企業価値は10億ドル(約1550億円)超と評価されたと報じられている。

ホリデーが生む世代間ギフトと長期的関係性



それでもなお、ホリデー期間は新規顧客と既存顧客の双方と関係を深めるうえで、もっとも効果的な時期のひとつである。

「ケンドラ・スコットの顧客の3人に1人以上が、娘や孫のために当ブランドで買い物をしている」とスコット氏は語る。

「女性たちは我々のブランドとともに成長し、季節のギフトや人生の大きな節目を祝う場面で、愛する人たちにデザインを紹介している」。

実店舗とカスタマイズ体験が担うブランドの中核



店内に設置されたカスタマイズサービス「カラー・バー(Color Bar)」は、感情的価値が最高潮に達するホリデーシーズンにおいて、体験の中核を成している。

顧客は誕生石や好きな色、意味のある組み合わせをもとにジュエリーを作ることができ、一度の来店で複数世代向けのアイテムをデザインすることも少なくない。

「店に足を踏み入れたすべての人に意味のある体験を提供できれば、黄色い袋を持って帰るかどうかに関わらず成功である」とスコット氏は語り、「実店舗こそが我々の心臓部だ」と付け加えた。

2026年に向けた体験重視型ブランド戦略の進化



ブランドによれば、これらの施策、ソーシャルでの拡散、ホリデーならではのストーリーテリングの組み合わせにより、過去最高水準のエンゲージメントを生むホリデー期間のひとつが実現したという。

「ホリデーは、引き続きブランドにとって強力な獲得機会である」とスコット氏は述べる。

「2026年には、よりパーソナライズされ、ローカルで、文化的文脈に即した体験をさらに強化し、長期的なつながりを育んでいく」。

[原文:Inside Kendra Scott’s feel-good holiday strategy]

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)