政治広告が街中に拡がる時代へ―政策広報DX協会がリテールメディアで実証実験を開始
▲ (左から)松井亜里香氏、小川淳也氏、吉村洋文氏、玉木雄一郎氏、森村隆行氏、永井俊輔氏
一般社団法人・政策広報DX協会は5月20日、東京都内で記者会見を開き、リテールメディアが保有するデジタルサイネージを活用し、「政治広告領域への展開を図る実証実験を開始した」と正式に発表した。これは業界初の試みである。
リテールメディアとは、公共交通機関の通路、コンビニエンスストアのレジ周辺、タクシーの助手席ヘッドレスト部分、サブスクリプション型のバッテリースポットなど、日常生活に密接した場所に設置されたディスプレイを通じて動画広告を配信する広告媒体である。今回の実証実験は、民間企業が保有するこうした広告基盤を政治広報に活用できる可能性を検証することを目的としている。
会見には超党派の国会議員や代表者が出席し、自由民主党の河野太郎氏、立憲民主党の小川淳也氏、日本維新の会の吉村洋文氏、国民民主党の玉木雄一郎氏、都民ファーストの会の森村隆行氏らが登壇した。
最初に登壇した吉村氏(日本維新の会)は、次のように述べた。
「メディアの在り方が大きく変化する中で、政治において重要なのは“伝えること”ではなく“伝わること”であると考えている。公平性や平等性を理由に、政治広報の分野ではイノベーションが起きづらい現状があるが、それを打破する必要がある。多くの人々が日常的に目にするリテールメディアを活用するこの取り組みに、大いに賛同している。一緒に前進していきたい」
続いて、政策広報DX協会の代表理事・松井亜里香氏は、デジタルサイネージの活用について次のように説明した。
「私たちは、既存メディアを否定するものではなく、時代に即した政治選挙、政治広報のあり方を模索している。例えば、国民の政策ニーズを感じ取ったタイミングで、地理的にターゲティングした動画メッセージを即時に配信することが可能になる。SNSやウェブサイトのような“検索される”メディアではなく、デジタルサイネージは“プッシュ型”として、より直接的な政治情報の伝達が可能である」
さらに、同協会理事の永井俊輔氏は、リテールメディアの規模と社会的意義について次のように述べた。
「コンビニやスーパーなどで表示される広告は、非常に広範な国民へのリーチを実現する。ある調査によれば、1日あたりの来店客数は、コンビニで約4,500万人、スーパーで約3,000万人、ドラッグストアで約2,000万人弱、ショッピングモールで約1,000万人と推計されている。この規模に情報を届けられることは、極めて大きな価値である。リテールメディアを“公共的な情報ハブ”として活用する社会的責任を高めていくためにも、小売業界全体の理解と賛同を得たいと考えている」
加えて永井氏は、政治情報の発信における姿勢についてこう述べた。
「現在、一つのインフラの場とするならば、特定の政党や政策を扱うことに“慎重であるべき”という葛藤が存在している。しかし、それを乗り越えることこそが、政治参加の促進につながる。政治をタブー視するのではなく、社会課題を解決する一つのチャンネルとして、リテールメディアの広告枠を政治広報に開放することは、企業価値の向上と社会的責任の両立を実現する道だと信じている」
今回の実証実験は、政治情報の伝達手段としてリテールメディアの可能性を探る重要な機会となり、今後の展開に注目が集まる。

▲ (左から)政策広報DX協会の松井亜里香氏、永井俊輔氏
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