<こども家庭庁 加藤鮎子大臣>第1回「こども家庭庁」発足で子育て支援が加速。児童手当の拡充も

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こども家庭庁が設立されてから1年4ヵ月が経ち、この間さまざまな出来事がありました。こども家庭庁のスローガンは「こどもまんなか」。こども家庭庁は、全てのこども・若者が心身の状況や置かれた環境に関係なく健やかに成長し、将来にわたり幸せに生活できる「こどもまんなか社会」の実現に向けた司令塔として、「児童手当の拡充」、「こども誰でも通園制度の創設」、「育休制度の充実」などの取組を進めてきました。今回は、内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画、孤独・孤立対策)の加藤鮎子大臣に、具体的な内容と今後の展望についてお話を伺いました。

こども政策の司令塔、発足後の変化は?

── 2023年4月にこども家庭庁が発足してから1年4ヵ月が経ちました(※取材は2024年8月)。この間、どんな変化があったか、またどのような政策ができたか教えていただけますか?

加藤鮎子大臣(以下、加藤大臣):こども家庭庁は、こどもに関する政策の司令塔として、政府全体の取組をとりまとめる役割を担っています。これまで複数の省庁にまたがっていたこどもに関する課題に対応するため、2023年4月の発足から現在まで、スピード感を持ってさまざまな取組を進めてきました。

まず、昨年末にはこども基本法に基づく我が国初の「こども大綱」を閣議決定しました。これは「こどもまんなか社会」の実現に向けて、幅広いこども施策を総合的に推進するため、今後5年程度の基本的な方針や重要事項を一元的に定めたものです。こども政策を総合的に推進するための政府全体の基本的な方針を取りまとめることができたことは大きな成果だと感じています。

また、昨年の6月に策定した「こども未来戦略方針」についてさらに議論を進め、同じく昨年末に「こども未来戦略」という形で取りまとめました。この中には「加速化プラン」としてこどもに関する施策の拡充をたくさん盛り込んでいます。さらに、同じ年末には「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」や「こどもの居場所づくりに関する指針」なども取りまとめ、こども施策に関するさまざまな政府の方針を打ち出すことができました。

加えて、先の通常国会において、施策の着実な実施に向けて「子ども・子育て支援法等の一部改正法」やいわゆる「こども性暴力防止法」を成立させることができたことも大きな成果だと考えています。

児童手当の拡充など切れ目のない支援

── 「こども未来戦略」について、パパやママたちに一番伝えたいことは何でしょうか?

加藤大臣: 先の通常国会では財源の議論が注目されましたが、その財源によって、たくさんのこども・子育て政策を拡充しているのが「こども未来戦略」の「加速化プラン」です。この「加速化プラン」によって、これからさまざまな給付が増えていきますので、それをしっかり伝えていきたいです。

例えば、2024年10月から児童手当の支給対象年齢が中学生から高校生年代に引き上げられ、支給回数も年3回から年6回に増えます。さらに第3子以降には、現在の月1万5000円から倍増して月3万円が支給されます。加えて所得制限が撤廃され、より多くの家庭が児童手当を受けられるようになります。

若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える

加藤大臣:また、「こども未来戦略」では、3つの基本理念を掲げているのですが、基本理念の1つ目に「若い世代の所得を増やす」こと、2つ目に、施策の拡充だけではなく、それをうまく活用しやすい社会の気運を醸成していく、つまり「社会全体の構造や意識を変える」ことを掲げています。この1つ目と2つ目の基本理念について、もっと若い世代に伝えていきたいです。

若い世代の皆さんの所得を増やすことは、さまざまな政策に関わってくることから、こども・子育て政策の文脈ではないところで語られがちですが、政府としてこれからの成長分野に対して投資して賃金を上げていくことを企業の皆さんにも働きかけており、実際に賃金は上がってきていますし、これからも上がっていくと思います。

若い世代の所得を増やすことをせずに少子化対策とは言えないとネガティブに捉えられがちですが、「若い世代の所得を増やす」ことを「こども未来戦略」の基本理念の1番目に盛り込んでいるということをしっかり伝えて、若い方々に前向きにライフデザインを考えてほしいと思います。

また、まだまだ地域によっては育休を取りますと言い出しづらかったり、自分が抜けた後のことを考えて躊躇してしまったりすることがあると思います。社会全体で子育て世帯を応援していくという気運をつくっていくことも「こども未来戦略」の基本理念の2つ目に掲げているということも、ぜひ知っていただきたいです。

── 育休については、こども家庭庁が出来たことでどんな変化がありましたか?

加藤大臣:育児休業制度については、これまで厚生労働省が中心となって取り組んできましたが、今回、両親がともに一定期間育児休業を取得する場合に手取り10割相当となる給付を創設します。育休制度の充実とあわせて、施策を実行するための財源を確保したという点も非常に意義深いと思っています。

※取材は2024年8月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

 編集・ここのえ