そんななか決定的な出来事が起こります。妻と一緒にダブルのベッドにいるとき、布団をかけていたので見えなかったのでしょうか。光輝さんの伸ばした足が妻の腰に当たってしまい……妻は「レイプするつもりなの? 信じられない!」と激怒。

筆者は「セックスを強要されたと思ったのでは?」と指摘。光輝さんはうなずきますが、妻はベッドから一目散に逃げていったそう。その日以降、夫婦の営みは完全になくなり、完全にセックスレスの状態に陥りましたが、それだけではありません。それ以外のコミュニケーションも日に日に減っていたようです。

◆徐々に話しかけるのが怖くなってしまう

光輝さんは「それから彼女の様子が少しずつ変わっていきました。目つきや顔付きが以前よりキツくなったし、近寄りがたいオーラを醸し出して…」と声を震わせます。妻は慢性鼻炎で活舌が悪いそうなのですが、光輝さんが妻の言葉を聞き取れず、「何?」と聞き返すことがありました。以前は光輝さんのことを睨みつつも、同じことを二度、話してくれたのですが、現在はため息をつくだけで無視されるように。光輝さんは「僕の方から話しかけるのが怖くなりました」と振り返ります。

そこで光輝さんは「最近、あまり話してないよね。反省会をしよう!外でご飯でも食べながら」と誘いました。筆者は「どうでしたか?」と尋ねると、光輝さんは首を横に振り、「返事はありませんでした」と言います。そんな矢先、妻が驚きの行動に出ます。

「あの日から光ちゃんのことがずっと怖かった。また求められたらどうしよう……嫌悪感が消えることはなかったから。もう無理。我慢の限界。別れてください」と切り出した上で離婚届を差し出したのです。前もって前もって役所で用紙を入手するなんて……筆者は「奥さんは一時の感情で行っているのではなく相当な覚悟なのでしょう」とアドバイスしました。

しかし、光輝さんは「夫婦なんてそんなもんだろう。うちの親だってそうだし、そっちの親だって同じじゃないかな。ずっと(セックスを)するなんてドラマや映画のなかだけだろう? うちだけが特別じゃない、他の家だってそうだ」と言い、離婚届へ記入するのを拒んだそうです。

ただ、妻が離婚の二文字を口にしたことで、光輝さん夫婦は家庭内別居の状態に。二人は一つ屋根の下にいるのに、なるべく顔を会わせないよう、おっかなびっくり暮らす…そんな緊張の糸がはりめぐらされた生活に突入したのです。

◆「506だから」という謎のLINEが…

2020年の離婚件数は193,253件ですが、統計上(厚生労働省の「離婚に関する統計の概況」)夫婦が同居したまま、離婚に至るのは全体の29%(54,324件)。一方、離婚する前に別居するのは71%(138,929件)。妻は同居したまま、離婚を切り出したので少数派です。

そんな最中、光輝さんに「506だから」というLINEが届いたのです。送り主は妻ですが、前述の通り、夫婦間の会話はほぼゼロ。三桁の数字は仮にホテルの部屋番号だったとしても、ホテルの一室で待ち合わせをする予定はありません。

筆者は「特に意味はないかもしれませんが、もし別の男性と会うつもりだとしたら一大事ですよ」と助言しました。そこで光輝さんは「どこのホテルだっけ?」と送信。そうすると妻はやり取りの相手がまだ光輝さんだと気付かず、「××だよ。台東区××××」と返してきたのです。妻はまだ何も気付いていない様子です。

光輝さんはいても立ってもいられず、そのホテルに急行。部屋のインターフォンを鳴らしたのですが、「はい」と答えたのはあろうことか妻でした。光輝さんの疑いは灰色から黒色に変わった瞬間でした。妻は無視することもできたのに、平気な顔で応じたので光輝さんは動揺を隠せませんでした。