◆悪びれる様子がない妻は実家に帰ってしまう

そこで光輝さんは「お前、ここで何やっているんだ!」と怒鳴ると、妻は「何でもいいでしょ? 光ちゃんには関係ない」と逆ギレ。「気分転換でデイユースを利用した」と言い訳することも可能といえば可能ですが、妻は暗に不倫を認めた上で「私たち、もう終わっているでしょ? 離婚の話もしたし……何をしようが自由なのよ!」と突き放したのです。

このように妻が悪びれる様子はなく、完全に開き直っており、今回のことを隠すつもりがないようです。これ以上、廊下で騒ぎ立てて、ホテルのスタッフが駆けつけると困ります。妻が「とにかく帰って!」と言うので、光輝さんは妻の言う通り、その場から退散したのです。

そして妻はその日、自宅に戻ると荷物をまとめ、実家に帰ってしまったのです。光輝さんが筆者の事務所へ相談しに来たのは、夫婦が別居に至ったタイミングでした。筆者は一通りの話を聞いた上で「奥さんの不倫が事実なら有責配偶者(離婚原因を作った側)になること」「有責配偶者からの離婚請求は裁判所では、そう簡単に認められないので、奥さんが離婚したいなら光輝さんの説得が必要だということ」そして「不倫で受けた精神的苦痛の対価は慰謝料の対象になること」と伝えました。

さて、一般社団法人・日本家族計画協会家族計画研究センターが2020年に調査した結果によると既婚女性のうち、30代は57.7%、40代は48.1%が「不倫をしたことがある」と答えています。

◆「悪いことをしたつもりはない」と頑なに主張

このように光輝さんは妻の脇の甘さがきっかけで、思わぬ形で「妻の不倫」を知ることになったのですが、「あの後、約束していた男がやってきたのか」「いつから付き合っているんだ」「僕の求めに応じないで別の男と!」ーー光輝さんは何十回も同じ自問自答を繰り返して頭がおかしくなりそうでした。どうしても真相を確かめたいのですが、妻が会ってくれる保証はないので、「離婚届を渡すよ」と伝えました。そしてルノアールの個室を予約し、そこに呼び出したのです。

そして妻は席に着くなり、「前にも言ったけれど、私たち、夫婦として終わっているから。光ちゃんが何て言おうとやり直すつもりはないから、早く離婚届をください」と畳みかけてきました。そのため、光輝さんはテーブルに置いた離婚届をいったん引っ込めた上で「いつからなんだ。離婚の話をする前からなのか?」と尋ねました。

そうすると妻は「まさか!」と首を振りながら、「私は悪いことをしたつもりはないし、光輝に後ろめたいと思っていないよ」と言い切ったとのこと。そして「言っておくけれど、彼とは浮気じゃない、私、本気だから!」と続けました。

妻が口にするのは自分の気持ちばかり。「妻の裏切り」を知ってしまい、ショックを受けている光輝さんを気遣う言葉はありませんでした。

◆「破綻する前」に交際を始めた場合は…

そこで光輝さんは「話は分かった。でも、ちょっと身勝手すぎないか。離婚してから付き合うのがルールだろ?」と切り返しました。しかし、妻は「いつまでも光ちゃんとのことを引きずりたくないの。離婚してから探すんじゃ、一人の時間が寂しいでしょ?(離婚)届けを出したら、すぐに彼と一緒になるつもりだから。」と圧力を強めてきたので、光輝さんはつい強い言葉で言い返してしまいました。「僕はお前のやっていることは不倫だって言いたいの!今さら別れろなんて言わないよ。でもルールを破ったなら、それなりの報いが必要だろ……慰謝料とか!」と。

しかし、妻は光輝さんの言葉を一笑に付す感じで「はいはい、そうきましたか…言っておくけれど、彼とは浮気じゃない、本気だから!」と言い返してきたそうです。