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大学受験、資格試験、語学、日常学習、ノート術にメモ術、さらにはスケジュール管理…。ネットの記事などでは、日々さまざまな<勉強法><学習法>が紹介されています。しかし、記事をどれだけ読んでも「結果が出ない」「続かない」という人も多いのでは。そんなお悩みに、『自分にあった方法が見つかる! 勉強法図鑑』の著者で現役東大生の西岡壱誠さんがお答えします。

【書影】西岡壱誠さんと東大カルペ・ディエムが絶対に効果のある勉強法を一冊に!『自分にあった方法が見つかる! 勉強法図鑑』

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「結果が出ない」ときの対策

この記事の著者である私こと西岡壱誠は、自ら東大に合格してから、勉強法を研究するスペシャリスト集団をつくりました。現役東大生や予備校の講師、大学の先生などに集結してもらい、次のようなことをしています。

・東大生にアンケートを実施して、勉強法や、使っていた参考書、生活習慣などのデータを収集

・分析結果をもとに、全国の学校現場で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施して、勉強法の指導などを行う

・これらのことをネットメディアや書籍で公開

近著『勉強法図鑑』でも、東大生が試した勉強法を取り上げ、その結果を分析していますが、今回その本から、特に効果のあったものやコツをいくつか紹介したいと思います。

努力量と結果でマトリクスを―「努力分解思考」

最初に紹介したいのは「努力分解思考」です。

勉強において、がんばっているのに結果が出ないことって多いですよね。逆に、それほどがんばっていないのに結果が出てしまい、「結局は運次第じゃないか」と悩んだりするかもしれません。

結論から申し上げますと、努力量と結果は必ずしも一致しません。

うまくいかないときは、やり方を変えたり、方向転換をしたりする必要があります。でも、なかなか自分で自分の努力にメスを入れることは難しいのではないでしょうか? もしくは「もっとがんばれば、もっと良い結果が出るんじゃないか」と考えて、<質より量>路線に行ってしまうこともあるでしょう。

そんなときに有効なのが、努力量と結果をいったん整理したうえで、対策を考える「努力分解思考」です。

方法はシンプル。努力量と結果を基にしたマトリクスをつくるだけ。

具体的には、現状をもとにして【図1】のように、「努力しているのに結果が出ていない」「努力していないのに結果が出ている」「努力していて結果が出ている」「努力しておらずに結果が出ていない」といった4つに分解していくのです。


【図1】努力分解思考

たとえば「英語において、英文法は努力しているけれど結果が出ていない。英会話は努力していないから結果が出ていない。読解は努力しているから結果が出ている」というように整理していく。そして、それぞれの結果に基づいて対策を考えていく、ということになります。

この分析を行うことによって状況が可視化されて、より適した対策がとれるようになるはずです。

目標は二つ設定すべし−「二重目標」

2つめにご紹介したいのは、目標設定のコツです。「二重目標」とよばれる方法を紹介したいと思います。

たいていの人が、目標どおりに物事が進まないと、それだけで「失敗してしまった」「もういいや」といったネガティブな気分になってしまいがちです。

「二重目標」は、そういう状態を改善するもの。具体的には<最低ライン>と<最高ライン>という2 つの目標を設けて、そのあいだを攻める、という方法となります。

たとえば、週のはじめに「今週はこれくらいの勉強をしよう」と考えると思いますが、そのときに「30 ページ分、問題集をやる」ではなく、「少なくとも20 ページ。できれば40 ページ分終わればいいな」と考えるわけです。

気をつけなければならないのは、「最低目標は、達成可能な最低ラインでなければならない」ということ。最低ラインよりも絶対に下回ってはいけません。そうでないと、「最低目標」の意味がなくなってしまうからです。

これは、成績についても応用できます。

「次の英語資格の点数は、80点を目指す。最低でも60点は取る」というように、点数に関しても目標を2つつくっておく。


【図2】二重目標

こうすることで、試験への取り組み方がうまくなるうえ、また受験後の反省はもちろん、次回の対策もずっとたちやすくなるはずです。

勉強をルーティンに―「習慣化思考」

最後に「習慣化思考」を紹介したいと思います。これは、「ルーティン」をつくるというもの。

たとえば、お風呂場に行って「まずはなにをしようか?」といちいち考える人はいないと思います。それは、それまでの人生を通じて何度もお風呂に入ってきたことで、するべき行動が染みついているからです。これはつまり、行動が「習慣化」され、「ルーティン」になっているわけです。

こうしたルーティンを勉強に対しても意図的につくり出すことで、机に向かうのが苦ではない状態にする、というのがこの思考法です。

なお、私の提案する「習慣化思考」では、時間と場所の2つでルーティンをつくるのがポイントとなります。

まず時間のルーティン化ですが、「勉強を始める時間」をあらかじめ決め、その時間になったら必ず机の前に座る、ということを習慣にします。

人間、やりたくないことは後回しにしがちです。嫌いな科目、苦手な勉強など、なかなか集中できないものも多い。それを後回しにしないようにするためにも、机に座る時間を決めることで、ルーティン化していくのです。

たとえば、夜8 時になったら、どんなにやりたくなくても必ず机に向かって勉強する。可能ならスマホなどにタイマーを設定し、音が鳴ったら絶対に勉強するように決めておくのです。

学校のチャイムが典型ですが、「音を聞いて気分が切り替わる」というのは人間の特性にあるものだと思います。

場所のルーティン化も同じ

場所のルーティン化も考え方は同じです。「勉強する場所をつくっておき、そこに行けば自然と勉強できる状態にする」というものです。

まずは、「休む場所」と「勉強する場所」を切り離す。部屋には「休む場所」というイメージがあり、休むルーティンができてしまっています。長年培ってきたそのルーティンを壊すのは時間がかかります。

そんなときは、「休む場所」以外の場所を「勉強する場所」にしてみてはいかがでしょうか。たとえば、リビングや廊下。家の外であればカフェやファミレス、自習スペースなどなど。まだルーティンのない場所で習慣をつくってしまえばいいのです。

このように、勉強を習慣化させてしまうことで、自分にあった努力が続けられるようになるのでおススメです。

勉強法に悩んだら、今回ご紹介した方法をぜひ試してみてください。