菊花賞に出走予定のタスティエーラ(撮影:下野雄規)

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 今週は牡馬クラシック最終戦・菊花賞が行われます。今年は皐月賞馬ソールオリエンスとダービー馬タスティエーラがそろい踏みで、前哨戦を勝ったサトノグランツなどもいて好メンバーが揃いました。長距離戦だけに3000mに距離が延びてどうなるのかが一番の焦点と言えるでしょう。そのあたりを中心に馬体面から考察していければと思います。

ソールオリエンス

 前回は仕上がりこそ悪くありませんでしたが、筋肉の張りや飛節の力感などはイマイチ。それが一叩きされてトモにグンと実が入り、皮膚も薄く見せて肌艶も良くなりました。飛節の力感もしっかり。パーツがそれほど長くはないので、距離延長はプラスとは言えませんが、脚質や無駄のない馬体を考慮するとこなせなくはないでしょう。前走以上は確実です。

タスティエーラ

 ダービー以来のレースとなりますが、付くべきところに筋肉がしっかりと付いてパワーアップしています。バランスも良く素晴らしい馬体。胴長で無駄のない馬体から距離延長は全く問題ないでしょう。休み明けでも完璧と言って良いほど仕上がっていますし、ここは2冠制覇の可能性がかなり高そうです。

ハーツコンチェルト

 前走時は仕上がりも良かったですし、パワーアップもしていましたが、手前の関係もあって右回りがイマイチの印象です。ただ、慣れも見込めるし、その辺りは陣営も意識して仕上げてくるでしょう。今回は一叩きされて無駄肉が削げ落ちつつ、筋肉の強度は上がり皮膚も薄く見せています。体型的には条件もピッタリで、好走は十分可能でしょう。

サヴォーナ

 良い意味でも悪い意味でも緩さが目立つ馬体で、距離延長は対応できるでしょう。春に比べて実の入りが格段に良くなっていますし、それが前走のメンバーでの好走にもつながったと言えるでしょう。スタミナ勝負になれば浮上しても良いと思います。

サトノグランツ

 前走時に比べてグンと実の入りが良くなってきました。状態としては申し分ありません。父に比べると胴が短いですが、脚がそこそこ長いですし、無駄のない造りで距離はこなせそうです。京都コースも合っていて、上位争いは十分可能だと思います。

ショウナンバシット

 一叩きされて無駄肉が削げ落ちつつも筋肉の張りが抜群に良くなりました。筋肉量や骨量は多いですが、胴がゆったりしていてツナギなども長さがあるので、距離もこなせそうです。速い脚がない分、そういう意味でも距離延長はプラスかも知れません。ただ、それでも時計の掛かる馬場にはなってほしいところです。

シーズンリッチ

 ツナギに長さがないですし、角度もやや立ち気味なので本質的には距離はあまり向かないと思います。ただ、今回はかなり造り込んできていて、これだけ無駄なく仕上がっていれば3歳馬同士なら好走可能でしょう。

ドゥレッツァ

 コロンとした体型で、弾力のある筋肉が豊富についています。中距離馬としては良い馬ですが、このメンバーに入って3000mはきついと思います。

トップナイフ

 常に良く見せる馬で今回も鍛え抜かれた馬体を良く見せています。トモに厚みが出たように思えます。本質的には2000mくらいが合うタイプですが、このデキならこなせても良いでしょう。

ノッキングポイント

 無駄なく仕上がっていますし、筋肉の張りも素晴らしいですが、距離は2000mくらいまでが良さそうです。ダートの走りも見てみたい馬です。

ファントムシーフ

 一叩きされて無駄肉が取れ、特に腹回りなどはシャープになってきました。造りに余裕があるので、距離延長は問題ないでしょう。トモの肉付きも良くなって、ここは好走も可能でしょう。

【総括】

 軸はタスティエーラで堅そうですが、問題は相手。ソールオリエンスを信用するのか、脚質などで嫌って他の馬を狙うのか。ここに挙げた以外でも前走が競馬にならなかったウインオーディンや一叩きで良化していそうなマイネルラウレア、距離延長で見直したいナイトインロンドンなど伏兵陣もいます。バラエティに富んだメンバーで、馬券はかなり面白いと思います。

(文・古澤秀和)