笑顔の昭恵さん(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 安倍晋三元首相の四十九日の法要が、8月25日、東京・富ヶ谷の自宅で営まれた。昭恵夫人や実弟の岸信夫首相補佐官ら親族、事務所関係者が参列した。

 憲政史上最長の在任期間を記録した元首相が撃たれるという、あまりに衝撃的な事件だけに、その余波の影響はさまざまな場所に見られる。昭恵夫人が経営する、東京・神田の和食居酒店「UZU」も大きな影響を受けたという。店長・中村てるさんが語る。

「事件が起こってから予約がひっきりなしに入り、すぐに7月、8月、9月いっぱいまでほぼ満席になりました。当店を利用したいという声は明らかに増えましたね。昭恵さんからの指示で、お店は休まず営業しています。国葬がおこなわれる9月27日も予約が入っています」

 どのような客が来店しているのだろうか。

「大半はサラリーマンの方々です。みなさんから『頑張って』『お気の毒でしたね』など優しい言葉をいただいています。中身は見られませんが、昭恵さん宛てにたくさんのお便りをいただき、ご本人にお渡ししています。

 あと、なぜか外国のお客様、とくに中国の方々が多く来られました。かけられた言葉は『応援してます』『好きでした』などで、安倍さんのことを悪く言う方はまったくいません」

 安倍元首相が訪れることもあったのか。

「首相時代に2度来ています。けっこうしゃべる方で、話は簡潔でわかりやすく、心に残りました。実際にお会いしてみると、テレビで見るような印象ではなく、染まっていないというか、色のない方で、こういう人なんだとびっくりしました。

 お店は2012年の10月10日にオープンし、今年で10周年です。昭恵さんも当初はよくお店に立っていましたが、すぐに政権交代してファーストレディになったので、なかなか来られなくなりました。

 事件後はまだ来店していません。8月の最初は、事務所と『UZU農場』のある山口・下関に帰っていたみたいですね」

 UZUでは、昭恵夫人が下関で育てて収穫した「UZU米」が提供されている。店内の壁に「福」の文字に「安倍晋三」と落款のある額が掲げられていた。なかにはフグの絵も描かれている。

「安倍さんの直筆です。なかなか達筆ですよね。フグの絵もご自身が描いたものです。山口では、フグのことを縁起のいい『福』にかけて『ふく』と呼んでいます」

 この書画に込めた思いは、そのまま、日本を幸せな国にしようという政治信条につながっていたに違いない――。