●コントとドラマの違いは「オチがあるかないかだけ」

高橋一生主演のTBS系金曜ドラマ『インビジブル』(毎週金曜22:00〜)で、捜査一課長・犬飼彰吾役を好演しているネプチューンの原田泰造。これまでも多くのドラマや映画に出演し、「芸人と俳優の仕事を僕は分けてないです」と言う。俳優の原点や転機となった作品について聞くと「どの作品も印象深いです」と前置きしつつ「『笑う犬』かもしれない」とコント番組を挙げた。



原田は『笑う犬』時代を振り返り「ネプチューンの3人で出演させてもらっていましたが、あれだけの人数でコントをテレビでやるということで鍛えられました。内村(光良)さんがとてもしっかりした座長で、その背中をずっと見てきたので」と述懐。

「もともとネプチューンは、コントからスタートしていますし、コントとドラマを演じる上での違いは、オチがあるかないかだけなんです。そこに慣れるまでは、けっこう時間がかかりましたが、ラストシーンに向かっていくまでの過程を頭の中で理解するということでは、同じことをやっているんだなあと思っています」

1994年に結成したネプチューンは、すぐにバラエティ番組で頭角を現していくが、原田は俳優としても早くから才能を発揮してきた。2000年に初主演を務めたドラマ『編集王』での演技が高い評価を受け、映画はエキストラを務めた『釣りバカ日誌6』(91)の次に出演した『ジャンプ』(04)でいきなり主演に抜擢されている。

「『ジャンプ』の頃は何もわかっていなかったので、主演のプレッシャーよりも出演できるうれしさの方が強かったのかもしれない。何も考えてなかったかもしれないです」と笑う。

お笑いと俳優業に垣根はないそうだが、両方やることでの相乗効果について聞くと「たぶん、僕にとってはお笑いもドラマも、部活をやっているような感じなんです」と表現。「いろんな部活に入れてもらって楽しんでいます。俳優業は、やらせてもらえること自体がすごくうれしいので、オファーをいただいたら、受けられるものは受けさせていただきたいです」と話した。

現在出演中の『インビジブル』は、事件解決のためならどんな手でも使う刑事・志村貴文(高橋一生)が、犯罪コーディネーター“インビジブル”を名乗る謎の女・キリコ(柴咲コウ)と異色のバディを組んでいく刑事ドラマ。原田が演じるのは、捜査一課長の犬飼彰吾役だ。

「一生くんの上司役ということで、大喜びでお受けしました」とうれしそうに語る原田は、高橋について「一生くんは悟ってる人」と感心しきりだ。「現場ではいつも一生懸命で、役に対しても真摯に向き合っています。まるで仙人みたいに何でも知っているし、一緒にやっていても、大人だなと感じます」

●『インビジブル』での上司役「快感になってきたかも」



緊迫感あふれるドラマだが、撮影の合間にはキャスト陣でなごやかに談笑するそうだ。特に、部下である磯ヶ谷潔役の有岡大貴(Hey! Say! JUMP)とは、サウナ談義で盛り上がると言う。

原田といえば、サウナを題材にした『サ道』シリーズで主演を務めているが「有岡くんとはサウナ友達です。『インビジブル』の撮影前から、何回もサウナで会っています。本当に『サ道』の仲間の1人みたいな感じで、『他のメンバーにもサウナを広めています』と聞いています」と笑う。

原田の刑事役といえば、中島健人(Sexy Zone)と平野紫耀(King & Prince)がダブル主演を務めた『未満警察 ミッドナイトランナー』(20)や、主演ドラマ『はぐれ刑事三世』でも演じてきたが、今回の捜査一課長のように多くの部下たちを束ねる上司役は初挑戦となった。

原田は「大変ですよ。僕が話すと、みんながこっちを見てくるし、プレッシャーを感じます」と苦笑い。とはいえ、原田もキャリアを重ねてきて、今は後輩を叱咤激励する立場となる機会も年々増えてきたのではないのか?と聞くと「みんなを従えて『行くぞ!』という感じはないです(笑)。特にネプチューンがないのかな? いや、俺がないのかな。だから『こうしろ!』と命令するような振る舞いは、今回初めての経験かもしれない」と言う。

「こういう役をやってみたいと思っていましたが、やってみると大変だなと思いました」と言いつつ「でも、だんだん快感になってきたかもしれない。返事しないやつがいるとジロッと見たりしますし」とまんざらでもなさそうだ。

また、『インビジブル』の現場を経て「年相応の自分が出てきた」と感じているそうだ。

「僕自身は全然若い気でいましたが、大人として、そういう役柄を演じる年になってきたんだなと。犬飼役を演じながら、上司というものをかみしめています」

今後の『インビジブル』の見どころについては「“インビジブル”に関することはもちろんこと、今まで謎になっていたことがどんどん解けていきます。そこを楽しみにしていただきたい」とアピールした。

●「自分じゃないものになれる楽しさが大きい」



今や俳優として確固たるポジションを築き、主演でも脇でも十二分に存在感を発揮できる原田だが、今後の俳優としての目標や野望とは? 「何でしょう」と考えたあとに、原田は「悪の大王みたいな役をやってみたいです」と笑顔で答えてくれた。

原田はこれまでに『ビッグマネー!〜浮世の沙汰は株しだい〜』(02)で血も涙もない銀行員役を演じていた。「もっともっと悪を演じたい。悪役って演じていて楽しいんです」とうれしそうに話す原田は、役者という仕事の面白さについて「自分じゃないものになれるという楽しさが大きいです」と語る。「だから『インビジブル』の犬飼役でも、人に命令したりしますが、そもそも自分の中ではない行動だし、そういう役を演じること自体にワクワクするのかもしれない」

意気揚々とそう語る原田の表情から「演じることが楽しくて仕方がない」という喜びのようなものが感じ取れた。役者としてますます脂が乗っていきそうな俳優・原田泰造を、今後も追っていきたい。

■原田泰造(はらだ・たいぞう)

1970年3月24日生まれ、東京都出身。ネプチューンのメンバー。俳優としては、ドラマ『サ道』シリーズや『はぐれ刑事三世』(20)、映画『ジャンプ』(04)や『ミッドナイト・バス』(18)などで主演を務めた他、NHK大河ドラマ『篤姫』(08)、『龍馬伝』(10)、『花燃ゆ』(15)など様々な作品に出演。ドラマの近作は『夜がどれほど暗くても』(20)、『六畳間のピアノマン』(21)など。映画の近作は『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(21)、『キネマの神様』(21)など。

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