●原作に忠実に、なるべく近づけられるように

抜群のスタイルを生かしたモデルとして、そしてテンポの良い関西弁を持ち味にしたバラエティタレントとしても活躍中の女優・高橋ひかる(※高ははしごだか)が、「WOWOWオリジナルドラマ『青野くんに触りたいから死にたい』」(3月18日放送・配信スタート 23:30〜)で、幽霊となった彼氏と恋愛模様を織りなす女子高生を演じた。死んでしまった幽霊の彼氏を演じた佐藤勝利(Sexy Zone)の印象を「周りのことをすごく見ていらっしゃる方だなと思いました」と明かす高橋に、キャラクターや物語に対する思い、そして自身の恋愛観や「一途になってしまうもの」について語ってもらった。

高橋ひかる撮影:岸豊  ヘアメイク:Mien


――幽霊となった彼氏との恋愛という設定や、モノローグ(独白)、黒青野くんに憑依されるシーンなど、いろいろな面で表現力が求められる作品だったのかなと思いました。高橋さんは、優里を演じるうえでどんなことを大切にしていましたか?

とにかく青野くんのことしか見えないくらい「盲目になっている感じ」が、すごくあるなって、台本を読んでいて感じました。素直だからこそ、後先を考えず、自分のことよりも、好きな人のためとか、想っている人のために行動しちゃう。そんな「ちょっと危ういところ」を大切にって意識していました。

――原作の椎名うみさんは「高橋さんは明るさと暗さの両方が、いつも手をつないでることを自然に感じることができるような不思議な人に感じました。そういう人に優里を演じてもらえるのは嬉しいです」とお話されていました。ご自身にそういった面はありますか?

私自身が、明るいのか暗い性格なのか、わからないんですよね。なので、その不思議な感覚を、先生がなんとなく言葉で表してくださった感じがしたんです。椎名うみ先生って、本当に全部見抜いてくる感じがあるというか。

対面してお話していると、すごく面白い方なんですけど、ユーモアがある中で「さっ」と突き抜いてくるところが、ワンポイントであったりして。全部面白いし、的を射たことをおっしゃっているんですけど、その中でも特に、パンチライン的なものを、ぱっ! て(笑)。「うわあ、すごい! どんぴしゃだ!」とか、当たってくるときがあるんです。先生の感性とか考え方は、すごく素敵だなと思います。

――先ほど危ういところを意識したとおっしゃっていましたが、具体的にはどんなアプローチを?

優里は感情的にすごく不安定なところもあったりしますし、人と触れ合い慣れていないからこその反応の速度があったりするんです。初めて青野くんに会って、ぶつかってしまったとき、リアクションができなかったり。「あ、ごめんごめん」ってなるところが「あ…」って声が出なくなって、びく! ってなっちゃう。怖さや驚きが優先しちゃったりするんです。

初めての感情とかもたくさんある女の子だと思うので、そういうドキドキ感とか、興味とか好奇心、感性っていうものを、一つ一つどういう風に感じるか。どういう風にリアクションするか。表情だったり、リアクションが、原作ではすごく細かく表現されているので、そこからたくさんヒントをいただきました。原作に忠実に、なるべく近づけられるように。そういうところは意識してやっていました。

●「切なさ」とか「もどかしさ」がすごくて



――共演して、佐藤さんはどんなところが俳優として魅力的でしたか?

佐藤さんは、周りのことをすごく見ていらっしゃる方だなと思いました。「はじめまして」だったので、すごく緊張していたんですけど、周りのことをすごく見ていらっしゃるから、私が緊張していて、あまり自分から話しかけられなくても、話しかけてくださったり。周りのスタッフさんとかを笑顔にするのが、本当にお上手なんです。

それも無理しているわけじゃなくて、自然と発した言葉が、みんなを楽しくする言葉だったりするんです。意識して発言しているのかもしれないし、そうじゃないのかもしれないけど「すごい方だな」って。現場を温めたり盛り上げたりするっていうのは、座長として大切な力だと思うので「すごい、流石だな」と思いました。青野くんとしてお芝居している姿ももちろんですけど、現場にいる姿も勉強になりました。

――役者として、吸収できるものがあったんですね。

そうですね。神尾(楓珠)さんも里々佳さんもそうでしたけど、佐藤さんは特に一緒のシーンも多かったので、より感じましたね。

――実際のお芝居の掛け合いでは、どんなところが楽しめましたか?

青野くんって、感情があべこべな時があったりするんです。辛いことを言っているのに、笑っていたり。「うまく感情が伝わらない」みたいなことが、原作でも描かれていたんですけど、それをすごく忠実に再現していて。何を考えているかわからないときがあるんですよね。

「寄り添ってくれているけど、わからない」みたいな。そういう表現をしてくれるからこそ、優里は不安にもなるんです。そこだけ切り取ると、本当にただの恋愛ドラマなんですけど、そこにプラス「幽霊」「触れられない」が加わることによって、よりハンデが加わるので、「切なさ」とか「もどかしさ」がすごくて。演じているこっちも寂しくなったりするなあって、客観的に見て思いました。



――優里は恋に一途ですが、共感しますか?

共感します〜! 私自身も、一途というか、一人のことを好きになったら、長い間「好きだなあ」って思ってしまうタイプだったんです。なんなんですかね? 理由はわからないんですけど、たぶん優里も「なんで青野くんのことを好きになったの?」って言われたら、説明できないような気がして。でも「それでいいのかな」っていう気もするんです。理由はないけど、ここまで「愛せる力」「信じる力」っていうのは、すごくまっすぐで好きだなと思います。「わかるなあ」と思いますね。

――優里が青野くんに一途なように、高橋さんが一途になってしまうものはありますか?

私は唐揚げがすごく好きなので(笑)。おいしい唐揚げを作ることと、おいしい唐揚げ屋さんを探すことが好きです。いろんな唐揚げ屋さんとかチキン屋さんとか、家でもレシピを試して作ってみたり。お酒が飲めるようになったので、憧れだったレモンサワーと唐揚げができたり。憧れでした。かっこいいなと思っていたんです。ちょっとうれしかったです(笑)。

――そうなんですね(笑)。好きな揚げ方はありますか?

片栗粉とコーンスターチを混ぜて揚げるのが好きです。あと、竜田揚げっぽいのが好きなので、衣をしっかりとたっぷりつけて、じっくり低温で揚げてあげることと、揚げ残りのかすはしっかり取ってあげること。きれいにしてからまた揚げることですね。

――こだわりを感じます(笑)。

昔から好きなので(笑)。

――リフレッシュにもつながるんでしょうか?

そうですね。今は母と暮らしているので、母にも作ったりすると食べてもらったりできるんです。一人だと、流石になかなか作らないと思うんですけど、誰か食べてくれる人がいるので、一緒にシェアできるのはうれしいなと思います。

高橋ひかる

2001年9月22日生まれ。2014年に「第14回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを獲得し、これをきっかけに芸能界へ。女優にとどまらず、女性ファッション誌『Ray』専属モデルのほか、バラエティタレントとしても活躍中。2022年は、映画『おそ松さん』に出演するほか、初主演を務める舞台「日生劇場ファミリーフェスティヴァル2022 NHKみんなのうたミュージカル『リトル・ゾンビガール』の公開が控えている。