動画100万再生超えもあるというFIFAゲーマーのたいぽん

 EA SPORTSが手がけるサッカーゲームシリーズ『FIFA』。昨年発売された『FIFA 21』が「2020年に欧州で最も売れたゲーム」の座に輝くなど、世界的な人気を誇っている。

 そんな『FIFA』シリーズに関する動画を投稿し続け、日本国内向けの公式イベントにも出演するYouTuberが「たいぽん」だ。チャンネル「たいぽんげーむず」は登録者12万人を超え、今や日本で『FIFA』と言えば必ず名前の挙がる存在になっている。

 これまでYouTuberとしてVlog(ブログの動画版)でいくつも「100万再生超え」動画を生み出してきたかと思えば、バンドマンとしてメジャーデビューの経験も持つ、ゲーム実況界では異色の経歴の持ち主だ。今年11月にはサッカー日本代表公式Twitterから応援メッセージを発信するなど、ゲームの枠組みを飛び超えて活躍している。

 たいぽんは幼少期からゲームに没頭するあまり両親に叱られた記憶もあり、「ゲーマー歴は長い」と自負している。だが意外なことに当時はサッカーへの関心は薄く、あくまで"ゲームジャンルのひとつ"程度の認識だった。

「子どもの頃は野球が好きだったんですよ。親戚の家でサッカーゲームをしたり、日韓ワールドカップを見たりした記憶はうっすらありますが、当時はサッカーが特別好きというわけではありませんでした」

 そんなたいぽんがサッカーの魅力に気づき始めたのは中学生の頃。明確なきっかけは「覚えていないんです」と笑うが、海外のスター選手が持つ輝きが彼の心に強く響いたようだ。

「選手もユニフォームもテクニックも、全部がカッコいいんですよね。もちろん他のスポーツも魅力的なんですけど、俺の中ではサッカーが一番カッコいいんです。特にメッシとロナウドの2大スターは自分が見始めた頃から今までずっと活躍していて、この時代に生まれて幸せだなと思いますね」

 一度夢中になってからはすっかりサッカーの虜になったたいぽん。「応援するクラブは決めていなくて、時期によって変わるんです。だから特定のチームをずっと応援している人がちょっとうらやましい」と話すように、あらゆるリーグに目を向けてはタイトルを巡るドラマやジャイアントキリングの衝撃に酔いしれた。

 なかでも思い出のチームはリバプール。2005年に欧州王者としてFIFAクラブ世界選手権(現FIFAクラブワールドカップ)のために来日して以降、その魅力に引きつけられた。「カッコよかったですね。最初に買ったユニフォームはリバプールのフェルナンド・トーレスのもので、他にも(ピーター・)クラウチとかジブリル・シセ、(ディルク・)カイト、あの時代のチームは今でも好きです」と、すらすら名前が挙がる。自然とサッカーゲームにも熱が入り、学校から帰れば友達と対戦する日々が青春になった。


FIFA22のリバプール © 2021 Electronic Arts Inc. Official FIFA licensed product.© FIFA and FIFA's Official Licensed Product Logo are copyrights and/or trademarks of FIFA. All rights reserved. Manufactured under license by Electronic Arts Inc.

 そして同じ頃、リバプールと変わらぬインパクトを与えたのが、音楽だった。ベースを演奏する友人の姿に憧れ、祖父に頼んで買ってもらった楽器に夢中になった。高校では軽音楽部に入り、さらに音楽に打ち込んだ。

 卒業後はプロのミュージシャンとなる道を模索し、モデルや芸能事務所のオーディションも受けてみたが、合格しても高額なレッスン料が必要になり、資金繰りを考えなくてはいけなかった。そこで、なんとか自分の知名度を挙げつつ、稼げる手段はないかと手をつけたのが、YouTubeへの動画投稿だった。

「まだ当時は『YouTuber』って言葉も浸透していなかったんですけど、ヒカキンさんのように既に有名な方もいて、ファンとして動画を見ていたんです。当時は『スマホだけで有名になれるかも』って感覚で、本当に生活していけるようになるとは思っていませんでした」

 内容は、「YouTuberって知ってますか?」という街頭インタビューをやったり、今でこそメジャーになった「やってみた」系の動画をアップしたりしていた。そのチャレンジが功を奏し、たいぽんはYouTuberとして大いに人気を博す。遂にはバンド「SEIZE THE DAY」としてメジャーデビューを果たし、念願だった音楽の道にも進むことができた。

 残念ながらバンドは解散してしまったが、音楽活動に一区切りがついたことを転機に、再び動画投稿をメインに活動していくことを決め、今度は「好きなことをやろう」とゲーム実況に力を入れ始めた。題材にはもちろん、多忙を極める仕事の裏でも毎回発売日に買いに行くほど愛のあった『FIFA』を選んだ。

「僕は2010年からシリーズをプレーしていますけど、毎年これだけ進化し続けているサッカーゲームって『FIFA』しかないと思うんです。ずっと『なんで日本のサッカー好きな人の間で流行らないんだろう』と感じていて、その思いが募って今の活動になっています」

 仕事としてやっている以上は再生回数やチャンネル登録者数といった数字は気になるが、それ以上に「FIFAはもっと人気になっていいはずだ」と、もどかしい気持ちが動画制作へのモチベーションになっていた。初心者向けの情報や解説動画にも力を入れると、Twitterでゲーム内容についての質問が送られてくるようになったが、それも「俺が返信しないせいで楽しめなかったらもったいない」と、すべてに返事をし続けた。

 世界中で人気を獲得する『FIFA』は国内でも徐々にユーザー数を伸ばし、それに呼応してたいぽんの名前と、深いFIFA愛は広く知られるようになっていく。遂にはEA SPORTS側から日本コミュニティを盛り上げる「キャプテン」の役割に任命される。ファンは「たいぽんさんしかいないと思っていた!」と自分のことのように喜んでくれた。

「YouTuberの活動は辛いことも多くて何度も辞めようと思いましたけど、応援してくれるコメントに励まされました。僕は人生で大事にしているのが『楽しむこと』なんです。見ている人も一緒に楽しんでほしくて、自分が楽しんでいることが伝わっていたらうれしいです」

 自らを「しゃべりもうまくないですし、プレー自体もそんなにうまいほうじゃない」と分析するが、『FIFA』の魅力を伝えることには「自信があります」と笑顔をのぞかせる。

 最新作「FIFA 22」の発売記念番組では元日本代表の前園真聖、佐藤寿人らと一緒にゲームをプレーする機会に恵まれ「夢みたいでした」と振り返ったたいぽん。今後は「現役の選手とプレーするのが、夢のひとつですね」と野望を語る。

「僕って打算的な行動ができなくて、直感で生きてきたんです」

 子どもの頃、みんながやっていたRPGには不思議と興味を惹かれなかった。楽器でも花形のギターよりベースに憧れた。そんなたいぽんの直感的なFIFA愛を貫く姿勢が実り、思いもよらない経験へと繋がっている。

「サッカーが好きなら『FIFA』は間違いなく楽しめるゲームです。動画を見てもらえたら魅力や知識も伝わると思います。ぜひ手に取って遊んでみてほしいですね」

 今後、ますます人気になればTwitterに質問が押し寄せる可能性も想像できるが、「大丈夫です、答えます!」と笑う。サッカーとゲームを愛し、人生まで変えてしまった頼もしいキャプテンが日本の『FIFA』界を盛り上げていく。

【Profile】
たいぽん
1992年11月7日生まれ。人気YouTuberとして活躍している傍ら、2015年にロックバンド「SEIZE THE DAY」を結成し、2016年にメジャーデビューを果たした異色の経歴。バンド解散後の2017年からはYouTuberとして『FIFA』の魅力を伝える動画を続々配信。その活動が評価され、EA SPORTSよりFUT United日本代表キャプテンに任命された。

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