「工場夜景サミット」フォトコンテスト最優秀賞
「After the storm」(撮影者・Tatsuki Ito)

 絡み合う配管、炎を噴く煙突、暗闇に浮かぶ巨大プラント……無機質な光景が、夜には壮麗な姿に変わる。そんな「工場夜景」は、2008年に川崎でおこなわれたツアーのヒットで注目され、人気を集めてきた。

 観光資源として活用する自治体も増え、2011年からは「工場夜景サミット」が開かれている。そこで開催されるフォトコンテストには各地から数多くの作品が集まるという。

「運河の橋を入れたり、富士山を背景にしたり、地域の特徴を捉えた作品が多く、見ごたえがあります」

 そう語るのは、コンテストをタイアップ企画した東京カメラ部株式会社の野中裕太氏。

「画像編集ソフトでのレタッチも写真表現の個性と捉えています。工場夜景写真の基本は長時間露光。つまりは、そもそもヒトの目では見えない、カメラならではの表現なのです」(野中氏)

 長時間露光により、たなびく煙や光跡がさらに幻想的な光景を演出する。それも工場夜景の愉しみなのだ。

 次のページでは、12のサミット加盟都市で撮影したフォトコンテストの入賞作を、撮影者のコメントとともに紹介する。 

【川崎市長賞】

「四日市港工場夜景〜煌めきはじめる〜」
・撮影者:小林 淳
・撮影場所:三重県四日市市
「日が沈んだ直後のブルーアワーの時間帯に、四日市港ポートビルの展望台より撮影しました」

【技能賞】

「見守る星々」
・撮影者:戸次貴之
・撮影場所:福岡県北九州市
「24時間365日稼働する工場は、元日のこの日も明るく煌めき、煙突からは水蒸気が出ていました。星の軌跡を入れることで、星々が眠らない工場を見守っているかのように表現しました」

「周南大橋と工場」
・撮影者:cony
・撮影場所:山口県周南市
「若山城跡から眺める工場はとてもきれいでした」

「閃光」
・撮影者:fabrik_view
・撮影場所:神奈川県川崎市
「4年前から撮影している千鳥町の工場夜景ですが、工場と雷という非日常的でファンタジーのようなコラボレーションを初めて見たのでとても興奮しました」

「Beyond the canal」
・撮影者:奥田智明
・撮影場所:兵庫県尼崎市
「運河に架かる斜張橋で遊歩道の一部でもある、付近にあった工場設備をイメージして造られた『であい橋』から見た夜の尼崎工場地帯の一風景です」

「undulation」
・撮影者:ナガハシオサム
・撮影場所:千葉県市原市
「光に照らされ浮かび上がる配管の機能美。日中は見えない部分の細かな配管の美しさが見られるのも夜景の素晴らしさだと思います。新旧の建屋が美しく融合しており、とても魅力的なプラントです」

「富士工場夜景」
・撮影者:uppy0084
・撮影場所:静岡県富士市
「富士市の工場夜景といえばやっぱり富士山とのコラボレーション。田子の浦の撮影ポイントが有名ですが、ほかにも魅力的なポイントがあるのも富士市の魅力だと思います♪」

「白龍炎舞」
・撮影者:DAISUKE MORI
・撮影場所:北海道室蘭市
「工場から濛濛と噴き上げる水蒸気と太平洋から流れてくる海霧との共演は白い炎を吐き出す白龍のようであり、大地の息吹と生命の営みが交差する荘厳な風景を一枚に収めることができました」

「翼下」
・撮影者:小林哲朗
・撮影場所:大阪府堺市
「翼のように見える水蒸気。その下には煙突、パイプ、プラント、色づいた海面など、それぞれに存在感のある要素が集まる。『2020工場夜景サミット』のスペシャルツアーで撮影」

「都市高下から望む工場」
・撮影者:古川祐樹
・撮影場所:福岡県北九州市
「都市高速と一緒に工場を撮りました。魚眼レンズで撮影することにより、都市高速の曲線を鮮やかに描けました」

「千穐楽連獅子」
・撮影者:siored_kazu
・撮影場所:大阪府高石市
「大阪国際石油精製・大阪製油所が精製を停止すると知り、最終日の10月31日に撮影。有終の美を飾るが如く力強いスチームが風に舞う姿は、歌舞伎の獅子頭のようで幻想的でした」

「煌めく鉄」
・撮影者:山田俊久
・撮影場所:愛知県東海市
「男心をくすぐるいかつい機械群とキラキラ輝く光。大好きな光景です。子供のころに想像した銀河鉄道の世界の実写版かな? 空撮ならではのアングルで広域の夜景をとらえました」

「鉄柵の先に広がる絶景」
・撮影者:コニシ
・撮影場所:三重県四日市市
「ポールと鉄柵で額縁構図を意識して撮影しました」

「千葉港にて」
・撮影者:サクライ ツカサ
・撮影場所:千葉県千葉市
「この日初めて訪れた場所。オレンジ色の照明やモクモクと水蒸気が上がる様子が特徴的な工場でした」

(週刊FLASH 2021年2月23日号)