「リモートワークだけでは円滑なコミュニケーションが取れない」というベンチャーは多い(写真:Kabuk Style)

ベンチャーの本音は「オフィスは必要」――。 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、企業オフィスでリモートツールを活用した在宅勤務が拡大した。こういった動きを受け、「オフィスは不要」という意見も散見されるようになった。そこで東洋経済が、身軽で意思決定の早いベンチャー企業に対しコロナ禍における「オフィス動向」を独自調査したところ、意外な結果が出た。

【調査時期・対象】9月中旬から同25日にかけて、『週刊東洋経済』2019年8月24日号、および2020年8月22日号「すごいベンチャー100」に登場した企業を中心にアンケート調査を実施したところ、31社から回答を得た。

6割がオフィス移転に前向き

D2C支援事業などを展開するAnyMind Groupはオフィスについて、「コミュニケーションを通して、新しいビジネスアイデアが生まれる場所。コロナ禍におけるもろもろのリスクを取ってでも、投資すべき場所だ」(広報担当)としている。

実際、今回のアンケート回答企業のうち実に6割超が「オフィスを移転する予定あり」または「検討中」とした。意思決定に時間がかかりがちな大手企業とは違い、身軽なベンチャーならではこその動きと言える。移転の理由としては、「テレワークの導入」「固定費削減」が最も多く、「社員数の増減」が続いた。

前出のAnyMind Groupも今年4月、アークヒルズ仙石山森タワーから六本木ヒルズ森タワー(ともに東京・港区)に移転した。オフィス面積は約4.6倍に増えた。「YouTuber関連ビジネスの成長に伴うスタジオの設置、人員増加への対応」(広報担当)と、移転・増床の理由を語る。移転と同時にコロナ禍に見舞われたこともあり、予定していた300の席数を250に減らして密にならない環境を整えた。

また、オフィス不要論について自由回答を求めたところ、「リモートワークだけでは円滑なコミュニケーションが取れない」「オフィス自体は必要で、新しい役割が求められるようになる」と、定義や活用方法の見直しが不可欠としながらも、おおむね「オフィスは必要」との認識だった。

本記事の続きはこちら。『東洋経済プラス』では「不動産『熱狂』の裏側」(全5回連載)として、ホテルや物流施設でわかれた明暗、東急不動産やヒューリックのトップインタビューを掲載します。