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フリーアナウンサーの田中みな実さんがテレビや雑誌、そしてネットでも大人気だ。気になるのは、TwitterやInstagramでは田中さんのファンたちが、掲載誌のスクショをシェアしている様子が見られることだ。

田中さんのファンという女性(30代)によれば「みな実さんが掲載された女性ファッション誌の画像は電子マガジンをもとに、TwitterなどSNSで誰かがシェアしているので、見落とさないでいられる」という。

スマホで電子マガジンやテレビを見られるようになり、スクショできれいな画像を保存することが可能になった。ファンたちに悪気はないのだろうが、法的にはどうか。著作権に詳しい齋藤理央弁護士に聞いた。

●誌面をスクショ→SNS投稿「著作権を侵害する」

「雑誌に掲載されている写真や記事は、それぞれ写真の著作物や言語の著作物として保護されます。加えて、雑誌は編集著作物などとして、たとえば誌面のレイアウトや構成も保護される可能性があります。

2019年11月には、漫画雑誌の編集著作権を侵害したとして、海賊サイト運営者3人に総額約1億6000万円の支払いを命じる判決が大阪地裁で出されました」

スクショを個人がSNSに投稿することも、著作権侵害になり得るのか。

「個人的に見返す目的などで、スマートフォンなどに保存するような場合は、権利侵害となりません。これを私的使用のための複製と言います。

一方、SNSに投稿する目的で保存する場合は投稿する以前にスマホに保存した時点で私的使用の範囲ではなく適法とならず、複製権侵害となります。

また、保存したときは個人的なスクショとして適法だった場合でも、権利者が同意していない限り、あとからSNSなどに投稿した場合は、違法な行為とみなされます。したがって、誌面をスクショして投稿する行為は基本的に著作権を侵害します」

●アイコンに使用「パブリシティ権侵害と判断される可能性」

誌面を投稿するだけでなく、アイコンに使うケースも散見される。

「田中みな実さん、つまり被写体の肖像権の問題も出てきます。肖像権は被写体の人格的利益を保護する側面と、パブリシティ権といって被写体としての経済的価値を保護する側面があります。

パブリシティ権について最高裁判所は、(1)肖像等を独立して商品にする場合、(2)商品等のブランディング使用、(3)肖像等の広告使用など、もっぱら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とする場合、不法行為法上違法となると判示しています。

そうすると、スクショをアイコンに設定していたり、ヘッダーに大きく表示してフォロワーを獲得しているような場合は、もっぱら顧客吸引力の利用を目的としていると判断されてパブリシティ権侵害と判断される可能性があります。

また、パブリシティ権を侵害しない利用形態であっても、被写体の人格的利益を侵害する利用は違法となります。スクショと卑猥な画像や言葉を併せて投稿したり、アイコンに設定して過激な思想を投稿する場合は、社会的な受忍限度を超えるものとして、被写体に対する肖像権侵害と判断される可能性があります」

【取材協力弁護士】
齋藤 理央(さいとう・りお)弁護士
I2練馬斉藤法律事務所リーガルグラフィック東京弁護士。東京弁護士会所属・著作権法学会会員。著作権など知的財産・IT法など、コンテンツと法律の問題に力を入れている。著作権に関する訴訟等も複数担当し、担当事案にはリツイート事件などの重要判例も含まれる。
事務所名:I2練馬斉藤法律事務所リーガルグラフィック東京
事務所URL:https://i2law.con10ts.com/