中国代表を突如として辞任したリッピ。その真意とは? (C) Getty Images

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 中国代表を率いてきたイタリアの名将が電撃的な辞任を発表した。

 現地時間11月14日に行なわれたカタール・ワールドカップのアジア2次予選、グループA第7節で、同組2位の中国は首位のシリア代表に1-2と惜敗。その結果、5ポイント差に広げられたうえ、3位フィリピンに勝点で並ばれてしまった。

 アジア2次予選は、各組1位のチームと各組2位のうち成績上位4チームの合計12チームが最終予選への切符を掴める。まだ折り返し地点で、中国にも突破の可能性は十分に残されているが、指揮官のマルチェロ・リッピは試合後の会見で、「私は高額な給料を受け取っている。すべての責任は私にある。中国代表の監督を辞任する」と突如として退任を発表したのだ。

 2016年10月には中国代表の監督に就任し、今年1月に行われたアジアカップ終了後に一度はその座を退いたリッピだったが、後任のファビオ・カンナバーロが3月に辞任したことを受け、5月に再任していた。

 それからおよそ半年での辞任。それだけに、中国メディア『新浪体育』が「我が国のサッカーは再び大きな混乱に陥った」と驚きをもって速報を伝えるなか、リッピは会見において、今回の決断に至った理由を、こう語っている。

「チームは決意も、怒りもない、心もない、個性もない、そしてプレーすることに恐怖を抱き、3本とパスは繋がらず、何のアクションも起こさず、重要な選手が貢献していなかった。その場合、それは監督が良い仕事をしていないことを意味する。我々はモルディブに勝ったが、フィリピンに引き分け、そして今日はこんな試合をしてしまった。

 これは当然の負けだ。シリアのほうが組織だっていたし、チームとして上だった。このようなチームをピッチに送り出してしまったということだ。私はお金を盗みたくはない。多額の給与を受け取っている。それを盗みたくはないのだ。したがって私は辞任する。今夜、辞任するんだ。取り消すことはない」

 今年8月には国内リーグで活躍していた助っ人外国人で、中国にルーツを持たないエウケソンやニコ・イェナリスを帰化させるなど、なりふり構わず強化を図ってきたアジアの大国だったが、リッピの辞任を受け、ワールドカップ出場に暗雲が立ち込めている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部