新たな趣向を凝らしたデザインが多数存在していた

 早すぎた天才や芸術家など、どんなジャンルにも時代や流行を先取りしすぎた存在というのはある。クルマでも同様で、時代やユーザーの意識&好みが付いてこなかった例について見てみることにしよう。

1)トヨタ・セラ

 走り自体はとくに特筆すべきものはなかったが、やはりガラス張りというのは時代を先取りしすぎた点。当時は夏に乗ると温室状態でひからびそうになったものだが、今ならIRカットガラスもあるし、エアコンの性能もいいだけに、問題点はクリアできるはず。実現すれば世界唯一のガラス張りグルマだ。

2)日産ラングレー

 数代あったが、3代目ラングレーのキャッチフレーズは「スカイラインズミニ」。スカイラインの弟分という点では1代限りと言っていいだろう。サニーベースだったので中身よりもデザインがスカイライン的で、丸テールも採用。この手法は今でもありだと思う。

 ほかに日産ではローレルスピリットというローレルの弟分もあった。

3)トヨタ・エスティマ ルシーダ/エミーナ

 トヨタにも弟分的なクルマはあって、初代エスティマが大きすぎて扱いにくいとか、価格が高いという声を受けて登場したのが、ルシーダとエミーナ(販売店違い)だ。

 子エスティマの愛称もあって、デザインなどはまんまエスティマだったのは凄い。エスティマでまた復活させるもよし、アルファード/ヴェルファイアで子アルファード/子ヴェルファイアなんていうのもありかも。

4)ホンダS-MX

 ステップワゴンの前後を短くしたものをベースに作られたユニークなミニバン。前席をベンチシートにしたものの、ふたりがけだったのは残念。3人乗りにして、後ろを巨大なラゲッジしたりすれば、復活の意義はあるかも。ホンダのクリエイティブ・ムーバーシリーズには1発屋も多かったが、ユニークゆえ、復活してほしいクルマも多い。

コンセプトの面白さはバツグン! 復活を期待したいモデルたち

5)トヨタ・プログレ

 セルシオやクラウンの世界観、装備を5ナンバーサイズに凝縮したのがこちら。ちゃんと直列6気筒エンジンを積んでいたのも凄い。もちろんFRだ。手法的には十分にありだが、大きくないと高級車じゃないという壁が強固なのが問題ではある。ただ、メルセデスのAクラスなどの成功例もあるだけに、日本車でもなんとか小さな高級車を根付かせたいところ。

6)スバル・インプレッサグラベルEX

 ワゴンベースのSUVの先駆けだが、ミックスしたのがクロカンテイストというギャップが強烈だっただけに、1代限りで消滅。いい子ちゃんになってしまったスバルだが、背面タイヤ背負ってワイルドさを復活させてもらいたいところ。

7)ダイハツ・ミゼットII

 安全面を考えると、復活は無理かもしれないが、シティムーバーとして見れば存在価値は多いありのサイズやコンセプトだったのは事実。電気自動車で復活させるのもこれからを考えるとありだろう。

8)トヨタiQ

 トヨタとしては未来を見据えた技術的な課題を盛り込んだだけに1代限りでもよかったのかもしれない。日本には珍しいAセグメントのクルマということで、軽自動車とバッティングするという側面もあっただろう。でも、ふたり乗りに割り切ったマイクロコンパクトカーとして考えれば、カーシェアなどでの活用も踏まえて復活してほしいところ。

9)スズキ・ツイン

 iQとまったく同じ復活理由だが、ハイブリッドを用意していたなど、時代を先取りしすぎたという点でも大注目のクルマだ。ちなみにハイブリッドの販売台数は300台とのこと。多いか少ないかは微妙。