写真は、コートジボワールのジェルビーニョ選手と長友佑都選手。日本の初戦は、勝ち点を奪えず終了した。 (撮影:岸本勉/PICSPORT)

写真拡大 (全4枚)

試合開始から押され気味の中で16分、長友佑都が中央に切れ込む気配を見せると、コートジボワールの足が一瞬止まった。そのわずかなスペースに本田圭佑が立って待つ。長友が本田にパスを渡すと、本田はトラップで前に抜けだし左足を力強く振り抜いた。コートジボワールのGKが動けないほどの強シュート。ネットが膨れ、日本が先制点を奪い取った。

得点を機に流れは一度日本に傾いたが、すぐにコートジボワールは立ち直った。力強いドリブルで日本陣内にグイグイと迫り続ける。日本の応援は途切れがちになり、コートジボワールのドラムは日本にとって嫌なリズムを刻み続けた。前半のボール支配率はコートジボワールが57パーセント、日本は43パーセントとアジア予選では圧倒的なボール支配を続けた日本は受け身の試合を迫られる。

後半も流れは変わらない。それどころかよりボール支配を許してしまう。そしてついに64分、前半から狙われていたアーリークロスからボニに同点ヘッドを許してしまう。さらに66分、またもクロスに飛び込まれ、ジェルビーニョに逆転まで許してしまった。

前日練習で岡崎慎司は言った。「見た目がきれいで点が入るほど甘くない。格好悪くても泥臭くてもいいから勝つことにみんなで必死にならないとダメ。普段からみんな勝つことに貪欲ですけど、それ以上のものを出さないと勝てない」。

前半の走行距離は本田、香川真司、岡崎、長谷部誠と上位には日本人選手がずらりと並んだ。試合開始直後から本田が体を投げ出してダイビングヘッドでクリアする。香川がスライディングしてボールをカットする。立ち上がりから力強く攻め込んでくるコートジボワールに対して、日本は汗を流し、体を張って対処した。

しかし、動きが鈍った後半は相手に付いていくのに精一杯。諦めずにボールに食らいついていくが、守備の時間が増え、前半はつなぐことのできたボールも蹴り返すのに精一杯になってしまった。

日本は通用しなかったのか。先制点を取った限りは、そうは言えないだろう。しかし、試合運びと、前半から攻められ続けたポイントを修正できなかったという弱点は明らかになった。次のギリシャ戦は一敗同士で迎える厳しい戦い。今こそザッケローニ監督の手腕が問われる。

【取材・文/森雅史(レシフェ)、撮影/岸本勉・PICSPORT】

▼ 66分、ジェルビーニョ選手(写真右)に、逆転ゴールを決められた

撮影/岸本勉・PICSPORT