しかし、日本では、そこまでではないですよね。

それだけ日本は生活しやすく、現状に満足しているのかもしれません」――日本を取り巻く現状を教えていただけますか?飯塚氏「GDPの下落や少子高齢化も一因ではありますが、日本のプレゼンス(存在感)そのものが下がっているように感じます。

実際に、昔と比べて海外のクライアントとアポイントがとりにくくなりました。

また、インターネットが普及し、新興国が力をつけてきています。

BRICs(経済成長の著しいブラジル、ロシア、インド、中国の総称)もさらに伸びる可能性がある。

これも、日本のプレゼンスが下がっている原因だと思います。

このままでは、日本はどんどん弱体化してしまうでしょう。

これから海外の市場を開拓することで、日本全体の活性化にもつながると考えています」是永氏「アジアの国々が世界を追いかけるスピードはすさまじいですよね。

ついこの間まで白黒画面のシンプルな携帯電話を使っていたかと思えば、日本で一時代を築いた折りたたみ式のカラー携帯電話を飛び越えて、スマートフォンを使っている。

彼らの多くは英語力がありますので、留学先の選定をするとき当たり前のようにアメリカやイギリスなどを選びます。

一昔前は、それでも日本へ留学するアジアの学生は多かったのですが、今では激減しています。

少子高齢化に始まる日本の課題の多くが、これから可能性のある国と思わせていないようです」飯塚氏「日本の大学は留学生を受け入れるけれど、卒業後に働く仕組みがまだ整っていませんよね。

これも日本離れの一因かもしれません」――日本は国際社会では苦境に立たされているのですね。

このような状況下、海外で事業を展開するにあたり、どのような人材が求められるでしょうか?飯塚氏「若い頃は失敗してもいいのです。

上司がフォローしてくれますし、その責任も上司にあります。

しかし、リスクがあることに手を挙げる人が少ない。

結果はもちろん重要ですが、まずはチャレンジする気概がほしいです。

例えば、旅行で海外に行く場合、その国について調べるでしょう。

仕事も同じで、ちょっとした欲が仕事を作ると思うのです。

また、私欲をいかに公益に変えられるかが重要です」是永氏「きっかけは私欲でもいいですよね。

最終的に、それが社会にどのようなメリットを与えるか落とし込むことが重要です。

例えば、アルビレックス新潟シンガポールの場合、選手がうちのクラブにずっといるとは思っていません。

選手たちには、シンガポールで日本と海外の違いを肌で感じてもらい、明確な結果を残すことによって1〜2年でもっと待遇の良いクラブに海外移籍してもらう。

さらに彼らが、その経験を日本に持ち帰ることによって、日本のサッカー界が盛り上がることにつながると思っています」――バリューコマースはこれから海外へ本格的に進出するとのことですが、どのようなビジョンかお聞かせください。

飯塚氏「収益の基本は日本ですが、海外市場の開拓を年内にはスタートさせる予定です。

中国では日本製の子供服や粉ミルクが安全性の高さから人気ですし、台湾ではフィギュアやカメラといった日本製品に注目が集まっています。

日本製品は近隣諸国で売れるチャンスがあります。

そういったmade in Japanの商品ニーズから、インターネット広告を展開したいというクライアントも多く、チャンスがあります。

先のアジアへの広告展開だけではなく、ドイツなどの欧米でも展開したいとおっしゃるクライアントも多い。

ビジネスチャンスはたくさんあります。

こういった海外業務には、やはりマインド。

これから当社で働いていただける方には、オールラウンドに興味を持っていただきたいですね」――アルビレックス新潟シンガポールでは、シンガポール以外にも海外展開は考えていらっしゃいますか?是永氏「現在、ポルトガル2部のクラブとパートナー契約を結んでいますが、それ以外にもスペインのバルセロナにアルビレックス新潟バルセロナというクラブを作る予定です。

サッカーの世界では、ヨーロッパで認められてナンボですので、シンガポールをステップにして、ヨーロッパで夢を実現できる道筋を作っています。

日本の周りの国が強くなれば、日本のサッカーも強くなると信じています。

アジア全体のレベルがアップすれば、日本サッカーもおのずと強化されるはずです。

また、選手たちには海外でプレーした経験などを子どもたちに伝えてほしいと願っています。

それが、日本のためになるはずですし、サッカーで世界をつなぐかけ橋になりますから」海外に興味がありながらも、語学力などの面で一歩を踏み出せない人も多いかもしれない。

しかし、まずは熱いマインドを持って飛び込めば、夢は実現できる。

やりたい気持ちを大切にし、勇気を出して羽ばたいてみてはいかがだろうか。