撮影:五十嵐鉱太郎
美人だけど、オトコ勝りなヒロイン真紀恵(香里奈)に、17年振りに再開して恋に落ちてしまう草食系男子・美晴(田中圭)。さらに昼は花屋の店員、夜はキャバ嬢の涼子(北乃きい)と、バツイチ声優タレントの西島(渡部篤郎)など、2人を取り巻く人々が繰り広げる恋愛模様を描く『ラブコメ』。主演は『深呼吸の必要』以来の映画主演作となる香里奈。オトコ勝りな花屋の店長、という役どころから、モデルから女優まで幅広い仕事観までを聞いた。


――最初にこの作品の脚本を読まれたときは、どんな感想を持たれましたか?


香里奈:主人公の真紀恵って、すごく喜怒哀楽のはっきりした女性で、人間味があって魅力的だなって思いました。どちらかというとオッサンぽいけれど、実は女の子らしい一面も持ってるし、いい意味ですごいあっけらかんとしていて、サバサバしているし、女性から見てすごく素敵な女性だなって感じました。

――「オッサンぽい」というお話がでましたけど、演じていく中で主人公に共感した部分や、役に入り込むまでの過程であったことがあれば教えてください。


香里奈:ちょっと悩んだのは「どこまでオッサンぽさを出していいのか」というところの判断だったのですが、基本的に監督からは任せて頂いていたので、思った通りに演じました。難しい役ではあったのですが、やりにくさはありませんでしたね。基本的に真紀恵という人は優しいときはやさしい、厳しいときは厳しい、といった印象を感じていたので、そのメリハリ、ギャップを出せるように演じました。

――タイトルが『ラブコメ』ということで、ラブストーリーの面と、コメディーの面と両方が劇中にあるかと思うのですが、両方のオススメシーンを教えてください。


香里奈:コメディーの要素は少しずついろんな場面に入っているので、どこがコメディーかって言われると難しいですね。渡部さんが演じるキャラクターもすごくコメディー要素があるし、みんながいる場面でのテンポのいい会話というのもコメディー要素が強い、観てもらって楽しい部分だと思います。ラブスートリーの部分に関しても、真紀恵の心境が変化していく展開や、心の流れを見て欲しいというのもあります。ラストシーンも普通のラブストーリーらしくない、真紀恵らしい終わり方だなって思ったので、終わり方まで注目してもらえると楽しめるかもしれません。

――映画の主演というのは04年の「深呼吸の必要」以来ですが、今回、主演女優として挑まれた意気込みや心境を聞かせてください。


香里奈:今回はいい意味で気負わずに楽にできればいいな、という気持ちがありました。主演だから、と意気込むよりは、軽快なラブコメという作品だったので、みなさんの作ってくれる空気感とか現場感みたいなものを大事にして演じました。役に入ったとき、ちゃんとみんなのキャラが立つように、って考えたりもできるようになったかな(笑)。

――主演でぐいぐい引っ張っていく、という雰囲気ではなかったんですね。


香里奈:もちろん自分の中では“主演”という気持ちはしっかりあるんですけど、いい意味でいつもと変わらずに挑んだところもありました。周りの役者さんたちに、すごく助けられているところもありますし、だからこそ自分の役を演じることができたという感覚もあります。でもエンドロールで自分の名前が一番上にあったときは、やっぱり感動しましたね。久しぶりで「嬉しい」って気持ちもあったし「もっとがんばらなきゃ」って感じたし、いろんな思いがこみ上げてきました。

――今回の撮影を通して大変だったことや、難しかったところはありますか?


香里奈:うーん、お天気かな(笑)。あとはとにかく暑かったですね。お花屋さんの店舗がすごく古いお店でクーラーがなかったんですよ。だから中は常にサウナ状態でした。お芝居の部分でいうと大変だったというか、難しかったのは、真紀恵の性格でオトコっぽいけど人間味をどう出せるか、ってところでしたね。