空前のQRコード決済ブームの表と裏! 便利さ、オトクさ、リスクの基本を知る

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●QRコード決済ブームを起こしたPayPayの真価が問われる第2弾キャンペーン
昨年末のPayPay還元キャンペーンから、にわかにQRコード決済がブームとなっています。

QRコード決済とは、商品代金の支払いを、
現金ではなく、スマートフォンのQRコードを利用して電子決済で支払いをするものです。

現在、QRコード決済は、
・PayPay(ソフトバンク系列)
・楽天ペイ(楽天系列)
・LINE Pay(LINE系列)
など、通信関連の企業を中心に、早くも20以上のサービスが乱立する状況となっています。

とくにPayPayは、2018年10月にサービスをスタートしたばかりの新しいサービスです。
スタートキャンペーンとして昨年末に実施した
「『100億円還元あげちゃう』キャンペーン」
こちらが大きな反響を呼び、瞬く間に一般の消費者層でのQRコード決済の知名度を向上させました。


数万円もする高額商品でも一定確率で無料になることが利用者の間で大きな話題となり、家電量販店などで大行列を作った



現在そのPayPayが、2月12日から5月31日まで「第2弾100億円キャンペーン」を展開しています。
第2弾キャンペーンでは、還元金額の上限を1回につき1,000円までとしつつも、全額還元率が2倍になっています。
今回のキャンペーンでは、家電品など高額商品が無料となった前回とは異なり、
・日用品購入
・外食
・交通機関
こういった少額決済で、日常的に利用してもらうことが目的となっています。


前回のキャンペーンは知名度向上のためだったが、今回は普及のための施策だ



●QRコード決済には、メリットもデメリットもある! 正しく賢く使う方法
現金以外の支払い方法と言えば、SuicaやQUICPayのような電子マネーもあります。
では、QRコード決済は電子マネー決済と、どう違うのでしょうか?

実は、利用者の視点・使い方だけで言えば、あまり違いはありません。
支払いの際、
・電子マネーは、カードやスマートフォンアプリを出す
これと同じように、
・QRコード決済アプリをレジで提示し、QRコードを読み取るだけ
この違いだけです。

現在のQRコード決済のメリットとしては、知名度の向上、普及のため、
・大きな割引
・還元(キャッシュバック)
これらを実施している点が挙げられます。

こうしたメリットの一方、デメリットとしては、
・QRコード決済アプリの起動、メニューの選択に若干時間がかかる
・利用の際、毎回パスコードの入力や生体認証が必要
・通信環境がなかったり、通信ができなかったりすると利用できない
こうした使い勝手の面で、既存の電子決済に比べて、まだ劣る部分もいくつかあります。

ただし店舗側には、
・電子マネーの決済システムよりも導入が容易
という大きなメリットがあるため、普及速度が高くなると思われます。


こういったことから、現在のQRコード決済のメリットを活かすには、
各社のQRコード決済サービスで、
・還元率の高さ
・系列サービスのポイント付与
これらを確認し、よく理解した上で使うことが重要になりそうです。




対応店舗やサービスは急速に増えている



●QRコード決済の普及のカギは? 安全性と利便性
話題のQRコード決済ですが、普及には課題もあります。

PayPayの第1弾キャンペーンでは、
過去に他社から情報漏えいしていたクレジットカード情報が、PayPayで不正利用される問題も発生しました。
現在は不正対策が進み、電子マネーなどと比較しても十分に安全性が確保されています。

一方で、利便性では前述したように、まだ電子マネーに一歩譲る部分がいくつかあります。
そこで各社は
・アプリ上で割り勘決済ができる
・ユーザー間で送金ができる
など、QRコード決済が持つ柔軟性を強調するサービスを打ち出すことで、その普及を図ろうとしています。


LINE Payのサービス説明より引用。LINEユーザー同士で割り勘決済が簡単に行えるのはとても便利だ



現時点で、QRコード決済で懸念されるポイントは、
・各社のサービスが乱立している
・ビジネスとして収益を上げる段階に進んでいない
という2点です。

QRコード決済は、ブーム的とはいえ、現在、大手のものだけでも20種類以上あります。
今後さらに増え、各社の競争が激化していくことも予想されます。

各社は普及とシェア獲得のため、100億円キャンペーンのようなインパクトのある施策を次々に打ち出しています。

しかし現在のこうした施策は、
・短期的なカンフル剤、一過性でしかない
・ビジネスとしての長期的な戦略が打ち出せていない(収益化が不透明)
など、継続・安定が求められる決済サービスとしては、根幹が頼りないという状況があります。

またQRコード決済が乱立し、細分化されるデメリットとして、
・QRコード決済を選びにくい
・使える場所や機会が制限される
・使い勝手が向上しない
これらにより、結果としてユーザーが、
・QRコード決済を使わなくなる
こうした可能性もでてきます。

ユーザーとしては、様々なキャンペーンがあることは嬉しいことです。
しかし、多すぎれば、
・キャンペーンの使い分けが面倒
・利用した金額の把握、管理が難しくなる
・不正利用などのリスクが増える
など、日常生活での負担増にもなります。

QRコード決済は便利で、オトクなサービスです。
だからこそ、その恩恵を活かすためには、
・普段、自分が頻繁に利用している店舗やサービス
・日常生活で利用できるQRコード決済
これらを確認し、
どのQRコード決済が便利でお得なのか? これをよく見極めて利用したいところです。


秋吉 健