THAAD配備で日本の空はより安全になる?(AFLO=写真)

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親北派とされる文在寅氏の韓国大統領就任で、昨年7月に決定していた在韓米軍へのTHAAD(サード)配備に待ったがかかるとの観測が浮上した。THAADとは「終末高高度防衛」の略で、米国が開発した最新鋭のミサイル防衛システム。飛行中の敵弾道ミサイルが大気圏に再突入するタイミングで撃ち落とす。

安全保障に詳しい同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科講師の宇佐美暁氏は「米国がTHAADを韓国に配備するのは自国の防衛が目的。つまり、配備は韓国ではなく米国の意向」と指摘する。「北朝鮮と至近距離の韓国を標的とした弾道ミサイルは低空を飛ぶので、以前から韓国に配備されているパトリオット(PAC-3)で迎撃可能」と韓国の対北朝鮮ミサイル防衛はすでに十分な状態にあると分析する。

THAADは防衛半径が200kmと広く、敵弾道ミサイルを上空のかなり高い位置で迎撃する。これに対し、すでに在日米軍や自衛隊に配備済みのPAC-3の防衛半径は20kmと低い位置。THAADの韓国配備で、北朝鮮からのミサイルに対して、上下2層での防衛網を構築でき、日本の防衛力はさらに高まるという。しかし、これは同時に中国が日本に向けて放つミサイルも迎撃対象となることから、中国は韓国での配備に強く反発している。

(金融ジャーナリスト 大西 洋平 写真=AFLO)