北朝鮮国営の高麗航空が、平壌と中国の丹東を結ぶチャーター便を運航することになり、大々的なキャンペーンを行っているが、丹東市民の反応は芳しくない。

チャーター便は、今月28日から毎週火曜日と金曜日に運航され、平壌発JS781便は午前8時30分(平壌時間)、丹東発のJS782便は午前10時20分(中国時間)のスケジュールとなっており、所要時間は30分だ。

丹東のデイリーNK対北朝鮮情報筋によると、市内の大通りや駅前などにはチャーター便の就航を祝う横断幕が掲げられている。

遼寧省当局は料金の安さ(往復1500元、約2万4000円)、所要時間の短さ(30分)をメリットとしているが、市民の反応は今ひとつだ。

ある現地の情報筋は、高麗航空の機体は老朽化しており、安全に対する不安を拭いきれないとの声が上がっていると伝えた。

空港当局は路線開設を「観光客の増加によるもの」としているが、これに対しても丹東市民からは次のような声が上がっている。

ソウル路線も廃止

「丹東は北朝鮮に何度も騙されてきた」
「そもそも丹東の人は北朝鮮に遊びになんか行かない」
「他の地方の人は北朝鮮に行くなら北京発の路線を使えばいい」

核兵器と弾道ミサイルの開発をめぐり国際社会による経済制裁が強化される中、新規路線開設を歓迎する声はあまり聞かれないようだ。また、国連安保理で採択された対北朝鮮制裁決議2270号に抵触する可能性もあると懸念を示す人もいる。

情報筋は、「国際社会が北朝鮮を懲らしめるべきだと立ち上がっているのに、中国が融和的な態度を取り続けるのか疑問だ。どうせ北朝鮮は中国の味方にはならない」と述べる。

また、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)では「列車でわずか数時間で行けるのに、こんな路線を開設して儲かるのか」という声も上がっているが、そもそも反応自体が非常に少ない。また、「この2年で成都、杭州、ソウル路線を相次いで開設したが、ぜんぶ廃止された」として、平壌路線の将来は明るくないだろうと見ている人もいる。

丹東空港は、2008年から2014年にかけて大々的な改修工事を行い、ターミナルも建て直したが、閑古鳥が鳴いている有様だ。北京便は毎日運行されているものの、上海、青島、煙台が日、月、水、金に運航されているだけで、年間の利用客数は21万人(2016年)に過ぎない。

丹東市民や同市への訪問客は、直行バスで結ばれており便数が圧倒的に多い瀋陽空港を利用することが多い。利用客数は1496万人(2016年)と、丹東空港とは比較にもならないほどの多さだ。