アメリカ発の配車サービスアプリ「Uber」。アメリカではアプリに登録したクレジットカードで支払いをするため、車の中で一切お金のやり取りをしなくてすみます。しかしブラジルのように、クレジットカードがアメリカほど普及していないところではこれがUber利用の障害となっていました。

そこでブラジルでは、2016年に現金での支払いも可能にしたところ、利用が爆発的に伸びたとのこと。しかし同時に急増したものがあるんです。

それが犯罪。

この度Reutersは、Uberブラジルが抱える犯罪問題の詳しいレポートを公開しました。現金支払いが開始されて以降初の殺人事件について、次のように描写しています。かなり、恐ろしいです。

去年9月のある木曜の夜に、Uber運転手のOsvaldo Luis Modolo Filhoはサンパウロの東部で10代のカップルからのリクエストを受け付けた。支払いは現金。2人の乗客はUberアプリで偽の名前を利用しており、目的地まであと数ブロックという地点で、青い柄の包丁をそれぞれ取り出した。2人は52才の運転手を何度も刺した後、彼の身体を道路に放置して、彼の車である黒のSUVで逃走。刺し傷のうち2箇所はあまりにも深く、警察は最初、銃槍と勘違いしたほどだった。運転手はこの傷により死亡している。

Uberのドライバーは、リクエストを承認するまで乗客の目的地がどこかわかりません。また承認した後に目的地を理由に乗車を断わった場合、規約違反となり運転手はUberの利用停止処分を受ける可能性もあります。そんな条件の下、犯罪率の高いブラジルで現金支払いを可能にしたわけですから、運転手たちが格好のターゲットとなっているようです。


Uber ブラジル 犯罪


Reutersは公に入手可能になっているデータを集めて分析したところ、現金支払いが導入された7月から犯罪数が急増していることがわかりました。サンパウロでのUber運転手を巻き込んだ強盗事件は10倍になっているとのこと。2016年の最初の7カ月間はひと月の平均が13件だったのが、残りの半年は141件まで増加しているのです。

月13件が月141件ですよ...。

現金での支払いは最初にインドで導入され、見事に収益を増加させたためブラジルを含む南米、そしてアジアの発展途上国でも導入されつつあります。サンパウロだけでもUberの利用は2016年を通して15倍にまで増加。現在、ブラジルにおけるUberの利用のうち、約3割は現金での支払いというからUberのビジネスとしては大成功なわけですね。

9月のModolo Filhoさん殺人事件の後、Uberの運転手たちは抗議のデモを行ないました。しかし10月には現金支払いによる安全性の問題は無いとUberブラジルはコメントします。それから5ヶ月が経ち、先週ようやくUberの利用者は国民IDを登録するというルールが追加されました。

米Gizmodoがこの件に関してコメントを求めたところ、「(Uberは)運転手たちの安全性を非常に重要だと考えている」という文章と共に「世界で最も犯罪の多い50都市のうち、21はブラジルにある」「サンパウロの外縁地域における利用の半分が現金支払いである」といったデータがくっついて提示されました。

またブラジルのUberドライバーたちには次のようなメッセージが送られたようです。

ドライバーの皆様、

ブラジルでUberを立ち上げて以来、皆様のおかげで何百万人という人々の移動が可能になりました。その多くは交通手段へのアクセスが困難な地域に住んでる人々です。

過去数カ月にわたり、ドライバーの皆様が犯罪に関する懸念を抱えていると伺ってまいりました。犯罪はブラジルにおける大きな課題であり、またコミュニティーの全員に影響を与える問題です。そのため、私達はブラジル独自の追加の安全対策に取り組んで参りました。

この件に関して、皆様にお知らせをしたいと思います。

本日、私達は乗客承認機能を立ち上げることとなりました。これにより現金支払いを選ぶ乗客は自分のCPF(ブラジルの国民ID)を、リクエストを送る前に入力することが義務付けられました。去年末に導入致しました、不審な現金支払い客を検知し停止するという機能に加えて、今回の承認機能が施行され、私達のリスク対策がさらに強化されます。

またいくつかの地域では継続して、現金支払いの乗客を乗せないというオプションも試験運用をしております。皆様がUberでどのような体験をされるか、またそれ以上に安全性について、私達は深い配慮を行なっていきたいと思います。

皆様のご意見をお伝え下さりありがとうございます。今後もご意見ご感想を頂けますと幸いです。

Guilherme Telles
ジェネラル・マネージャー、Uberブラジル

・Uberのバグが原因で不倫がバレた男性、54億円の損害賠償を請求
・2階の窓に乗り付けて! Uberの空飛ぶタクシー計画、NASAの研究員を迎える

image: Sergio Shumoff / Shutterstock.com, Reuters
source: Reuters

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)