チョンブリFCを下してACL本選行きを決めた柏だが、決定力不足を露呈するなど先行きに不安ものぞかせた。写真:菅原達郎(サッカーダイジェスト写真部)

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 Jリーグの開幕が近づくなか、2月17日にACLプレーオフのレイソル対チョンブリFC戦が行なわれたね。試合はなんとかレイソルが延長戦の末に勝利し、ACL本選への出場を決めた。でも、危なっかしい試合だったね。47本のシュートを放ちながらも、なかなか決めきれずに2度も同点に追いつかれている。まだコンディションが整っていないこの時期とはいえ、格下の相手にあの戦いぶりでは、先行きが不安だね。

 ここ最近、Jリーグ勢はアジアレベルの戦いでまったく結果を残せていない。昨季のACLではセレッソ、サンフレッチェ、フロンターレがラウンド16止まり。マリノスに至ってはグループステージすら勝ち抜けなかった。結局、大会を制したのは、オーストラリアのWSW。先日のアジアカップでもオーストラリア代表が優勝したし、今のオーストラリアは勢いがあるね。Aリーグも盛り上がっているようだし、そういう良い雰囲気を作り上げている国は、やっぱり結果を出すものなんだ。

 一方で、日本はどうかな。日本代表はアジアカップでベスト8止まりだし、Jリーグ勢も前述のような成績だったからね。今季のACLで惨敗したら、それこそ日本サッカーのレベル低下を証明することになるよ。

 そういう意味で言えば、もっとも注目なのはガンバかもしれない。昨季にリーグ戦、ナビスコカップ、天皇杯を制した三冠王者は、日本国内では敵なしと言えるクラブだ。もし、彼らでも通用しなかったら、JリーグはACL出場枠の削減を自ら提案してもいいくらいだよ。

 今季は、日本協会がACL出場クラブへのサポートを手厚くしているという。昨季までは準々決勝以降のステージに進出した際にインセンティブで強化費を支払うというものだったけど、今季はグループステージから勝利給が出て、ラウンド16から準決勝までの各ステージ進出で、さらに強化費が支払われるという。原専務理事によれば、「昨年の倍」の予算を取ったそうだ。

 協会は、Jリーグ勢のアジアでの存在感を増してもらおうとしているんだろう。ただ、これはやり方が違うんじゃないかな。
 本当にACLで優勝してほしいなら、優勝した場合に限ってドカンと報奨金を支払うシステムにしたほうが理にかなっている。だって、昨季もグループステージは突破できているんだよ。そこにインセンティブを付けても、決して人参にはならないよ。昨季並の成績を残しておけば、小遣いがもらえるんだからね。協会はお金が余っているから、使いたくて仕方ないのかもしれないね。

 そもそも、協会の仕事は、お金をばらまくことじゃないよね。本来、取り組むべきは、AFCに働きかけてACLのブランド力を上げることだ。スポンサーを集めて優勝賞金の額を上げたり、PR活動に力を入れさせたり、そういうアプローチをすべきなんだ。

 もっとも、JリーグもACLのPRを十分にしているとは言えないけどね。レイソルとチョンブリFCのプレーオフなんて、ほとんどニュースで取り上げられなかった。一部のサッカーファンは注目していたかもしれないけど、一般の人は“アジア王者を決める大会”が始まったなんて気づいていなかったはずだよ。

 メディアの扱い方を見ても分かる。Jリーグが始まれば、まずまず紙面を賑わせるけど、ACLでは商売にならないから、どの新聞も扱いが小さい。つまりは、そういうこと。世間に認知されていないから新聞も売れないし、客も入らない。結局、ブランド力も向上していかないんだ。

 Jリーグの本部がACLでの勝利を望んでいるなら、もっとやり方があるはずだ。例えば、今季から2ステージ制を導入するんだから、各ステージの優勝チームに来季のACL出場権を与えるとかね。

 もっと分かりやすい形でアピールすれば、ファンも関心を持ってACLを見に来るかもしれないね。