BASFコーティングスジャパン株式会社が、2〜3年後のカラートレンド予測を発表しました。



BASFグループは、年間の売り上げ7兆円を越えるような世界の化学業界のリーディングカンパニーです。欧州、アジア、北米の3か所にデザインスタジオを持っており、自動車メーカーに対しては塗料を供給すると同時に、カラーリング(塗料)のトレンドを提案しています。提案から採用・量産まで2〜3年かかるため、最新の提案がそのまま2〜3年後の予測となるというわけですね。


マーケットのニーズを予測するには、時代の空気を読む必要があります。現在の世界状況や気分を丁寧に読み解き、導きだされたテーマは「Come Closer」(もっと近くに)というものでした。


「BASFが予測する最新のカラートレンドは、日本、アジア、そして世界におけるそれぞれの社会的、経済的な状況を強く反映しています。今日、私たちは過剰な情報に翻弄され、正しい情報を得ることが困難になっています。“Come Closer”(もっと近くに)は、物事の本質を知るには、近づいたり、引いたりして観察や認識することが重要であり、さらに視点を変えることで、新しい発見があるというメッセージが強く込められています」は、アジア太平洋地域のカラーデザインを担当するチーフカラーデザイナー・松原千春さんは述べます。


具体的な傾向でいうと、世界の先進国のトレンドは、温かみがあり、落ち着いた心安らぐ控えめなカラーとか。あまり強すぎない中間色調です。特にブラウン系が人気で、赤みや黄色の強いものにいく可能性もあるそうです。



一方、成長著しいアジアの新興国では、勢いや情熱を感じさせるストレートなカラーが求められるものの、その一方で、高級感あるブラックやレッド、シルバーには知性的な表現が加わってくると言います。


説明を見ていて感じたのは、ツヤ消しが非常に多いなということ。黒だけでなく、ブラウン系やホワイト系など、いろいろな色味が試されています。ツヤ消しは塗装設備の問題や販売後のメンテナンスの問題(こするとだんだんツヤが出てしまう)など、量産車の採用にはハードルが高いものの、バイクやショーカー、限定車などでは徐々に採用されているものです。また、ソリッド系を見直す動きも出ているという話もありました。



なかなかカラーリングの世界も奥が深いんですね。勉強になりました。


<鈴木ケンイチ>


BASFの公式サイトはこちら >> http://www.japan.basf.com/


 



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